ポイントは「間口」と「奥行き」だ。

井上達彦(いのうえ・たつひこ)/早稲田大学 商学学術院 教授。1968年生まれ。97年神戸大学大学院経営学研究科博士課程修了。早稲田大学商学部助教授などを経て2008年から現職。著書に『ゼロからつくるビジネスモデル』(小社刊)など(撮影:今井康一)
ビジネスモデルを紹介する本や記事は数あれど、体系的に分析した事例はほとんどない。
『週刊東洋経済』2月24日 特大号の特集は「もうけの仕組み 2024年版」だ。四季報記者がユニークなビジネスモデルの会社を解説するとともに、上場企業400社を独自分析した。
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強いビジネスモデルとは何か、まねされないビジネスモデルをどうやってつくるか。「取引の図解」を考案し、ビジネスモデル・デザインや経営戦略論を専門とする井上達彦教授に話を聞いた。
──400社のビジネスモデルの分析結果をどう読み解きますか。
約半分が①の製造販売モデルというのは実感に近い。利益率が低いのも、製品やサービスのよさに頼っているからそれほど儲からないということ。
また、②の流通小売りモデルはつねに価格競争をしているため、収益性が低い。そのことは機関投資家も指摘していた。
製品の販売よりも保守・サービスのほうが利益率は高いため、⑥の設置ベースモデルの利益率が①の製造販売より高いのも想定どおりだ。もし①の会社が⑥の設置ベースモデルに移行すれば、もっと収益性が上がるだろう。
「間口」と「奥行き」を見よ
──⑧のマッチングモデルや⑨の補完財プラットフォームモデルを展開する企業の強さが目立ちます。
強いはずだ。⑧のマッチングは在庫を供給側が持つ。⑨の補完財も自社でやる部分を絞り込めるし、外部のサードパーティーが商品やサービスを供給して価値を高めてくれる。どちらも資本効率がいい。
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