令和の総合商社の「もうけの仕組み」とは。

傘下に入れたファミリーマートが伊藤忠のビジネスの裾野を広げた(撮影:梅谷秀司)
ビジネスモデルを紹介する本や記事は数あれど、体系的に分析した事例はほとんどない。
『週刊東洋経済』2月24日 特大号の特集は「もうけの仕組み 2024年版」だ。四季報記者がユニークなビジネスモデルの会社を解説するとともに、上場企業400社を独自分析した。
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総合商社|ファミマが象徴、 伊藤忠はトレード・投資の合わせ技
流通小売りモデルの中で異彩を放つのが総合商社だ。一昔前までは、単純に商品を右から左に流した際の手数料収入、資源の先物取引における売買差益、トレードに伴う金融収益などが典型的な収益源だった。こうしたトレードに付随する伝統的ビジネスモデルは今でも商社の事業基盤になっている。
しかし、メーカーなどが海外と直接取引するようになり、仲介機能を果たしていた商社は1980年代に「冬の時代」を迎えた。
この頃から総合商社は直接川上の資源権益を押さえたり、逆に川下の小売りやサービス業への投資を行ったりして、事業投資・運営にビジネスの軸足を移してきている。
「トレードを軸にしながらバリューチェーン(価値連鎖)を築き、事業に付加価値を与えていく。ビジネスの種になる情報を得てそれに関連する企業に投資し、事業運営もしていく。その過程で資産をリサイクルしていく特殊なコングロマリット(企業複合体)」(専修大学・田中隆之教授)というのが現在の総合商社の姿だ。収益源も出資先からの配当収入や子会社、関連会社から取り込んだ利益が大きな比率を占めるに至っている。
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