大手であっても従来のモデルでは稼ぎづらくなっている。
百貨店|三越伊勢丹やJ.フロント 脱「小売り依存」の岐路
国内百貨店の頂点に君臨する伊勢丹新宿本店の売上高がバブル期超え──。
同店の前2023年3月期の総額売上高が3276億円となり、過去最高を更新した。勢いは今24年3月期も衰えておらず、今期は3727億円とさらに上積みされる見込みだ。まさに、コロナ禍で沈んだ百貨店業界の復活の象徴といえる。
百貨店は、商品を仕入れて店頭で販売する流通小売りモデルの先駆けである。「対面販売」や「現金販売」など、現在の小売業の基本的な仕組みをつくったのは呉服屋を発祥とする百貨店だ。昨今の好業績も、海外の高級ブランド品や時計・宝飾品といった高額商品の販売が牽引している。
百貨店は自社で仕入れて在庫を抱える一般的な販売方法が一部あるものの、現在では「消化仕入れ」と呼ばれる特殊な取引形態が主流だ。この形態では、商品が売れるまでは出店ブランド側が在庫を抱え、販売と同時に百貨店側が仕入れと売り上げを計上する。つまり、百貨店側は在庫リスクを負わずに商品を売り場に陳列できるというわけだ。
消化仕入れは、多種多様な商品をそろえたい百貨店に好都合であるだけでなく、ブランドとしても集客力のある百貨店に出店できるのは大きなメリットだった。
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