ターミナル駅から百貨店が消え去るかもしれない 大衆消費から富裕層やインバウンド向けに舵

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(写真:khadoma / PIXTA)

セブン&アイ・ホールディングス傘下のそごう・西武が、その売却計画に伴って、そごう・西武労働組合は、組合員9割超の賛成で、ストライキ権を確立したことを公表し、大きな話題となった。組合としては、従業員の雇用や店舗計画に関する説明を会社側に求めてきたものの具体的な説明がない、としてストライキを実行できる環境を整備して、交渉力を強めていく方針だという。

即スト実行というわけではないようだが、今後の交渉次第では百貨店業界では異例のストが行われる可能性もある、とされている。

富裕層やインバウンドの恩恵を受ける大手百貨店

そんなニュースと同じ日に日本経済新聞には、「百貨店売上高、大都市は好調 伊勢丹新宿本店や阪急本店」という記事が載っていた。伊勢丹新宿本店の2022年度売り上げはバブル期を上回り過去最高を記録、2023年度も前年比1%増を見込んでおり、さらに記録を伸ばす見通しだというし、大阪の阪急本店も6か月連続で過去最高売り上げを継続している。

国内富裕層の高額品消費が好調なのに加えて、インバウンドの回復も寄与している大都市部においては、百貨店の売り上げは絶好調なのである。ただし、富裕層やインバウンドの恩恵を受けていない地方百貨店は依然としてコロナ前の8割程度まで売り上げが戻っていない。富裕層、インバウンドの取り込みが百貨店の業績の明暗を分けているということになるのだろう。

これらの状況を踏まえると、大都市にも拠点を持つ大手百貨店の一角を占めるそごう・西武は、本当に売られるべき存在なのか、という声も聞く。本当のところはどうなのか、大都市の百貨店について、ちょっと現況をみてみることにしよう。

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