ターミナル駅から百貨店が消え去るかもしれない 大衆消費から富裕層やインバウンド向けに舵

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

しかし、コロナ禍を挟んで状況は一変した。前述のとおり、大手百貨店の大都市店は富裕層の高額品消費により、大いに売り上げを伸ばしており、高島屋新宿店にはさらに大きな追い風が吹いている。

新宿西口の小田急百貨店が再開発ということで、売り場面積を8割減らして営業することになった。小田急百貨店本店は、コロナ前(2020年3月期)には売上高917億円の実績があったのだが、これが大幅に縮小した(単純計算では700億円以上が他社に流れる可能性)。追い風はそれだけではなく、新宿と商圏が隣接する渋谷で、東急百貨店本店が閉店したのである。

コロナ前には売上高900億円以上あった東急本店が閉店したことで、新宿の百貨店に売り上げが流れているようだ。小田急も東急も再開発に伴う百貨店の縮小、閉店としているが、再開発後に百貨店が復活するという可能性はほぼないと言われている。大都市百貨店好調のニュースを横目に、新宿、渋谷という巨大ターミナルから電鉄系百貨店が消え始めているのである。

特定層を相手に生き残る百貨店

今、大都市百貨店が好調なのは、外商を中心とした富裕層の高額品消費および、戻りつつあるインバウンド消費が支えているのであって、大都市の駅ターミナルという世界有数の人流を生かした大衆消費の回復によるものではない。

鉄道会社にとって、ターミナルで百貨店を始めた本来の理由は、沿線住民の利便性向上にほかならない。しかし、時代を経て、百貨店はターミナルという人流の中心に位置しながら、大衆消費から離れていってしまい、富裕層、インバウンドといった特定層を相手にするビジネスとして生き残りの道を見つけつつある。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事