AWS、KDDIで薫陶受けた「ベンチャー社長」の素顔 3月上場ソラコムがたどった異色の成長の軌跡

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ソラコムの玉川憲社長
ソラコムの玉川憲社長。AWSの日本事業立ち上げを牽引した後、ソラコムを創業した(撮影:尾形文繁)

自動車や家電にSIMを差し込むと、データがクラウドに自動転送される――。

あらゆる“モノ”がインターネットにつながる「IoT」向けの機器やプラットフォームを一気通貫で提供している、2014年創業のソラコム。国内外で旺盛なDX需要を追い風に、製造業をはじめとする幅広い業界からの引き合いが強く、前2024年3月期決算の売上高は前期比25.9%増の79億円、営業益は同7倍の7億円に成長している。今年2月には、世界展開を視野にスズキとIoT技術の活用に向けた協業の検討を始めた。

2017年にKDDIの連結子会社となった後、今年3月、東証グロース市場に上場。いったん大企業に買収されたうえで上場する新たな手法を「スイングバイIPO」と呼び、株式市場の大きな注目を集めた。

東大院⇒IBM⇒AWSから起業へ

急拡大する会社を率いるのが、共同創業者で代表取締役社長CEO(最高経営責任者)の玉川憲氏(48)だ。東京大学大学院でVR(仮想現実)を研究した後、日本IBM基礎研究所を経て、アマゾンウェブサービス(AWS)を展開するアマゾンデータサービスジャパンで経験を積んだ玉川氏。華麗な経歴をたどる中で、なぜIoT分野で起業に至ったのか。

「日本発の、グローバルに通用するようなプラットフォームビジネスを作りたかった」。玉川氏はソラコムを起業した際に抱いた思いについて、このように振り返る。

2000年に日本IBM基礎研究所でキャリアを開始した当時は、エンジニアの視点で「世の中でまだ作られていないものを作りたい」と意気込んでいた。しかし、従事していた腕時計型コンピュータのプロジェクトが解散する経験を経て、「技術が好きでも世の動向やビジネスを理解していないと、楽しい環境は作れない」ことを痛感する。

当時の苦い経験も胸にアメリカに留学してMBAを取得し、2010年から関わったのが、AWSの日本展開だった。

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