AWS、KDDIで薫陶受けた「ベンチャー社長」の素顔 3月上場ソラコムがたどった異色の成長の軌跡

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今や世界最大のクラウドに成長したAWSの日本事業立ち上げを牽引した玉川氏は、その本質を「コンピューティングの民主化」と説明する。

ウェブ上からワンクリックで誰もが簡単に書籍を購入できるeコマースを構築し、世界市場を席巻したアメリカのアマゾン。その子会社であるAWSは同じような形で、ウェブからコンピュータを簡単に使えるようにして、誰でもコンピュータの能力を買えるようにした。

「ウーバーもインスタグラムもネットフリックスも、すべてAWSを使って始まった。若くてお金もないけれども、アイデアがある若者たちが自分のアイデアを具現化できて、世の中に良いサービスを作ることができる、オープンでフェアなプラットフォームを開放した」(玉川氏)

ソラコムの玉川憲社長
玉川憲(たまがわ・けん)/1976年大阪府生まれ。2010年にアマゾンデータサービスジャパンにエバンジェリストとして入社後、AWSの日本事業立ち上げを技術統括として牽引。2014年にソラコムを設立。東京大学工学系大学院機械情報工学科修了、アメリカ・カーネギーメロン大学MBA(経営学修士)修了、同大学MSE(ソフトウェア工学修士)修了(撮影:尾形文繁)

日本はもちろん、世界中でAWSが急速に普及するのを当事者として経験する傍ら、玉川氏はITの世界に新たな波が到来しつつあるのも感じた。それが、IoTだ。

国内顧客と向き合ううちに、「日本が得意な自動車や家電といった製造業で、いろいろなモノからデータをクラウドにためようと思ったときに、その通信がない」と気が付いた。モノ作りが得意で、モノのデータをDX化しなければならない日本を起点に、「AWSのIoT版」をやるべきではないか――。そんな思いが募って起業したのが、ソラコムだった。

収益モデル、組織にも“AWS色”

AWSに着想を得て生まれたソラコムが目指すのは、「IoTテクノロジーの民主化」だ。ビジネスモデルについても、AWSの影響を受けているという。

ソラコムが柱とする収益構造は、サブスクなどから継続的な収入を得る「リカーリング」モデル。IoTに必要な機器を提供し、プラットフォームを継続利用してもらうことで、安定的な売り上げ拡大を見込める。玉川氏は「AWSのプラットフォーム提供モデルからいろいろと学んだ」と話す。

脇を固めるソラコムの幹部も、AWS出身者が多い。CTO(最高技術責任者)の安川健太氏、上級執行役員の片山暁雄氏、齋藤洋徳氏らはいずれもAWSの出身だ。

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