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化石燃料第一へ転換、アメリカがLNGに見出した商機。危うさをはらむ新エネルギー政策

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LNG基地に接岸したLNG船
米国から東京ガス根岸LNG基地に到着したLNG船(撮影:尾形文繁)

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ドナルド・トランプ米大統領の相互関税によって、世界経済は不確実性の渦に放り込まれた。企業業績、マーケット、通商・外交はどう動くのか。本特集では総力取材で今後の展開を予測した。

トランプ米大統領は就任当日の1月20日、「米国のエネルギーを解き放つ」と題したものを含めて5本のエネルギー関連の大統領令に署名した。5月2日発表の予算教書の概要では「インフラ投資雇用法」に基づく脱炭素関連の歳出など、バイデン前政権が打ち出したグリーンニューディール関連の予算を削り落とした。代わって力を入れるのが、天然ガスなど化石燃料の開発拡大だ。

LNG供給で主導権

トランプ大統領は就任初日に、前政権による日本など非FTA(自由貿易協定)締約国向けの液化天然ガス(LNG)新規輸出許可の一時停止措置についても解除を指示した。2月にはエネルギー省が解除後初の許可を出している。これにより、滞っていたLNG案件が再び動き始めた。

すでに最終投資決定済みおよび建設中の米国新規案件からの出荷は、2025〜30年に年間9000万トン近くになる。その結果、近い将来、米国のLNG輸出量は24年(約8700万トン)の倍に達する。トランプ政権はこれをさらに拡大させようとしている。日本エネルギー経済研究所の柳沢崇文研究主幹は「20年代後半の世界のLNG供給増は、米国と中東のカタールが担う」とみる。

販売先として期待されているのが、ロシア産ガスへの依存の脱却を進める欧州および日本を含むアジア諸国だ。日本企業の引き取り量については、合意済みおよび計画中のものの合計で、近い将来、年間約430万トンの増加となる。現在の年間輸入量と合わせると1000万トンを超える見通しだ。

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