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トランプ弾圧で研究者流出、世界に広がる獲得競争。欧州やカナダだけでなく中韓も動き出した

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(写真: Chris Kleponis/CNP/Bloomberg)

アメリカの研究人材求む——。

大統領ドナルド・トランプが科学研究機関や大学への連邦助成金を大幅にカットし、研究可能な分野に制限を加え、移民の追い出しを進める中、競合国は、排斥されたり愛想を尽かしたりした研究人材を獲得するチャンスが訪れたと考えている。

競合国にとって、アメリカの研究機関や企業と競い合うのは困難な状況が何十年と続いてきた。アメリカは一流の研究者や科学者を引き付ける磁石のような存在だった。概して予算は大きく、報酬は高く、研究室や設備も充実していた。野心も大きかった。

2024年にアメリカは国内総生産(GDP)の約3.5%に相当する約1兆ドルを研究開発に費やした。科学技術の進歩の基盤となる長期的な基礎研究に関しては、政府が支出の約40%を賄っていた。

これこそが、ほかの先進国や新興国で各界のリーダーらが、アメリカへの頭脳流出に長年頭を痛めてきた理由である。だが今、流れを逆転させるチャンスが訪れようとしている。

「100年に1度のチャンス」

「頭脳を獲得する100年に1度の好機だ」。オーストラリア戦略政策研究所はそう断言し、政府に行動を促した。

ヨーロッパ連合(EU)は5月上旬、十数カ国以上の加盟国に背中を押され、今後2年間で5億ユーロの追加資金を投じて「ヨーロッパを、研究者を引きつける磁石(のような場所)にする」と宣言した。

アメリカの学術関連予算に比べれば、微々たる金額ではある。

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