リーダーに一番必要な力は、言葉を使って人を動かす力です。たとえカリスマ性や自信がなくても、「リーダーの話し方」を習得することはできます。古今東西の優れたリーダーたちが実践している「秘伝のテクニック」とは?
NHKでキャスターとして活躍しながら大学院でスピーチ研究に取り組み、博士号を取得後、経営者や政治家などトップリーダーのトレーニングを行っている矢野香さんの新著『最強リーダーの「話す力」』より一部抜粋し再構成のうえ、リーダーに必要な言葉づかい3ポイントをお届けします。
主語は自分で、はっきり自らがしている行為として語る
リーダーの言葉づかい:能動態で語る
「基準を示す」とは、リーダーが何を考え、どのような判断をしているかを、聞き手にはっきりとわからせるための話し方です。
その第一歩は、「受動態」をやめること。つまり受け身をやめ、すべて「能動態」、すなわち、はっきり自らがしている行為として語ることです。主語は「自分」です。
例を挙げましょう。
△ 「こうした事態を打開するため、来月、全体会議が行われることになりました」
◯ 「こうした事態を打開するため、来月、(私は)全体会議を行います」
◯ 「こうした事態を打開するため、来月、(私は)全体会議を行います」
聞き手の立場では、どちらがより「この事態は打開しなければならないのだ」という危機を感じて、どちらがより「事態が打開できそうだ」とリーダーに期待するでしょうか。
受動態=受け身を多用すると、責任の所在をわざと曖昧にすることができます。全員で意識を共有するためには受動態は便利です。謙虚に聞こえ、マナーに配慮しているようにも感じられます。
ところが、リーダーが受け身で語ってしまうと「自分は責任をとりたくない」という逃げ腰の印象を与えます。この例でいうと、危機を感じ、会議を行うのはリーダーの意志です。主語を自分にして、能動態で話すことが基本です。
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