主語は必ず自分。能動態で、シンプルに言い切る。基準を示すうえでもこの原則に従って語ります。
◯ 「今回つくった人事制度では、何も挑戦しない人は、認めないような制度にしました」
もって回った表現を避け、ズバリ言い切るのがリーダーです。
これをもう少し掘り下げてみましょう。正直にいうと、何が正解かわからないような曖昧な場面でも、さも確信しているかのように、堂々と言いきることができるかどうか。そこで腹をくくれるのがリーダーです。つまり、「素の自分」では言い切りにくいと思えることでも、「セルフ・パペット」として言い切るわけです。
大衆はリーダーに「丁寧なうそ」を期待している
古代ローマで最も偉大な雄弁家であり、人類史上最も優れた弁論家の一人とされるマルクス・トゥッリウス・キケロ。その弟が兄のために記した一般大衆を味方につけるための話し方の秘訣が、「率直な真実よりも、丁寧なうそ」を語ることでした。「人々は現実よりも、うわべの体裁に心を動かされる」として、大衆はリーダーに「丁寧なうそ」を期待していると説いたのです。
例えば、「難しそうだ」「とてもできない」と思っても、正直に否定するのではなく、「興味深い。挑戦してみよう!」と「丁寧なうそ」を言い切る。これこそがリーダーの話し方の要諦です。それによってキケロのいうように周囲を味方につけることができ、「頼もしいリーダー」という印象を与えることもできます。
◯ 「この案は面白いし、興味深いね。挑戦してみよう!」
言い切るためにまずやるべきことは、「〜と思います」の根絶です。無意識で話しているとつい「〜と思います」という言い回しを使いがちです。ここまで悪しき話し癖とお伝えしてきた受け身形と「思う」を合わせた「〜と思われます」となると、絶対的にアウト。
さらに、「ただ今から会議を始めさせていただきたいと思います」という典型的な言い回しも断固やめるべきです。このような言い方は不要な表現を含むばかりか、必要もない許可を請う、仕切り切れていない、弱々しい姿を無意識にさらしてしまっています。
「思わないでよいところ」は言い切りましょう。「ただ今から会議を始めさせていただきます」で十分です。さらには、「させていただく」許可を他人からもらう必要がないところは言い切りましょう。「ただ今から会議を始めます」で十分です。リーダーは、許可をもらう立場ではなく、許可を与える側の存在です。
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