日本の企業はなによりも「真面目」であることを大切にする。ところが、それとは対照的に、アップルやピクサー、グーグルのような企業は、なによりも「ユーモア」を大切にすることで、大きく成長している。
スタンフォード大学ビジネススクール教授のジェニファー・アーカー氏と、同校講師でエグゼクティブ・コーチのナオミ・バグドナス氏によれば、ユーモアにあふれる職場は心理的安全性をもたらし、信頼関係を築き、社員のやる気を高め、創造性を育むという。
今回、日本語版が9月に刊行された『ユーモアは最強の武器である: スタンフォード大学ビジネススクール人気講義』より、一部抜粋、編集のうえ、お届けする。
ユーモアは交渉を優位にする
ユーモアはまったく思いがけない場面でも強力なツールとなる。それは、交渉の場だ。
研究者のカレン・オクインとジョエル・アロノフが行ったある実験では、参加者たちは美術品の購入客として、「美術商」(=研究助手たち)を相手に、購入価格の交渉をするように指示された。
美術商の半数は、客の最終的な入札価格をはるかに上回る最終提示価格を示し、「こちらの最終提示価格は〜です」とだけ言った。もう半数の美術商も同じ価格を提示したが、にっこりと笑いながらこう言った。「こちらの最終提示価格は〜です……おまけに、私のペットのカエルをつけましょう」
これが思いがけない結果につながった。ペットのカエル付きの最終オファーを提示された客たちは、平均で18%高い金額を喜んで支払った。しかも、その客たちは「とても楽しかった」「あまり緊張せずに美術商と交渉できた」と答えた。
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