日本の企業はなによりも「真面目」であることを大切にする。ところが、それとは対照的に、アップルやピクサー、グーグルのような企業は、なによりも「ユーモア」を大切にすることで、大きく成長している。
スタンフォード大学ビジネススクール教授のジェニファー・アーカー氏と、同校講師でエグゼクティブ・コーチのナオミ・バグドナス氏によれば、ユーモアにあふれる職場は心理的安全性をもたらし、信頼関係を築き、社員のやる気を高め、創造性を育むという。
今回、日本語版が9月に刊行された『ユーモアは最強の武器である: スタンフォード大学ビジネススクール人気講義』より、一部抜粋、編集の上、お届けする。
脳の機能的固着がアイデアの邪魔をする
笑いと創造力のつながりを理解するために、「ドゥンカーのロウソク問題」を用いた認知能力テストを紹介しよう。心理学者アリス・アイゼンと同僚たちは、実験の参加者たちにロウソク1本、数個の画びょうが入った紙の箱、マッチを配布した。
そう、ただのロウソクだ。
参加者たちへの課題は、テーブルの上に配られた物だけを使って壁にロウソクを固定し、点火すること。ただし、溶けたロウが下のテーブルにこぼれ落ちないようにしなければならない。
正解は、箱から画びょうを取り出し、画びょうを使って箱の片側を壁にとめ、ロウソクを置く棚を作ることだ。
簡単に思えるかもしれないが、この解決法にたどり着くためには、脳が機能的固着を克服する必要がある。
機能的固着とは、物の一般的な使い道以外の方法をなかなか思い着けない認知バイアスだ(この場合なら、箱を画びょうの入れ物としか思えないこと)。
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