南カリフォルニア大学のオリ・アミールとアーヴィング・バイダーマンによる実験では、ロサンゼルスの〈グラウンドリングズ・シアター〉のプロのコメディアンたちと、アマチュアのコメディアンたち、そして一般市民たちに対し、「『ニューヨーカー』誌の表紙の絵に気の利いたキャプションを付けてください」と指示した。
参加者はふたつのグループに分かれてブレインストーミングを行い、いっぽうのグループはユーモアのあるキャプションを考案し、もういっぽうのグループは真面目なキャプションを考案した。そして実験中、どちらのグループの参加者たちもMRIスキャンを受け、この作業に対して脳がどのように反応しているかを調べた。
すると、コメディアンたちが考案したキャプションは、さすがによい出来だった。だが全体的に見ても、ユーモアのあるキャプションを考えていた参加者たちの脳内では、創造を司る領域が活性化していただけでなく、学習や認知にかかわるその他の領域(側頭連合野および内側前頭前皮質)も活性化していたことが明らかになった。
さらに、この創造力の向上効果は、最初の作業が終わったあとも長く持続することがわかった。
コメディアンは良いアイデアの天才
マサチューセッツ工科大学(MIT)のバリー・クドロヴィッツによる一連の研究では、コメディアンたち、プロダクトデザイナーたち、学生たちに対し、「ブレインストーミングを行ってから、風刺漫画のキャプションを考案してください」と指示した。
その結果、ブレインストーミング中にコメディアンが出したアイデアの数は、ほかの人たちが出したものよりも20%多かっただけでなく、アイデアの創造性に対する評価も25%高かったことが明らかになった。
アインシュタインは「創造性とは、遊び心をもった知性だ」と語った。あなたの知性も、もっと楽しませてあげよう。
(翻訳:神崎朗子)
ジェニファー・アーカー
スタンフォード大学ビジネススクール教授、行動心理学者
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Dr. Jennifer Aaker
スタンフォード大学ビジネススクールのゼネラル・アトランティック・プロフェッサーで行動心理学者。目的と意義が個人の選択に及ぼす影響や、テクノロジーが人間の幸福や企業の成長にプラスの影響をもたらす可能性に関する研究の第一人者。博士の研究は『エコノミスト』『ニューヨーク・タイムズ』『ウォールストリート・ジャーナル』『アトランティック』『サイエンス』などの主要紙誌でも紹介されている。Distinguished Scientific Achievement Award(科学部門顕著業績賞)、MBA年間最優秀教授賞などを受賞。
ナオミ・バグドナス
スタンフォード大学ビジネススクール講師、エグゼクティブ・コーチ
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Naomi Bagdonas
スタンフォード大学ビジネススクール講師、エグゼクティブ・コーチ。組織のリーダーやフォーチュン100社、非営利組織などに向けたインタラクティブなセッションを促進し、エグゼクティブやセレブリティが『サタデー・ナイト・ライブ』や『トゥデイ』等の番組に出演する際の指導も行っている。〈アップライト・シチズンズ・ブリゲード・シアター〉で正式なトレーニングを受けたバグドナスは、劇場の舞台に立ってコメディーを実演し、サンフランシスコ郡刑務所では、レジリエンスを高めるための即興コメディーを教えている。