パティシエは世界一になるなど、日本の料理のレベルは世界的に見ても水準が高いと言っていいだろう。ところが、日本のトップシェフが参加しながらも、優勝にどうしても届かない世界大会がある。あの有名フランス人シェフ、ポール・ボキューズ氏が始めたフランス料理の世界大会「ボキューズ・ドール国際料理コンクール」である。
2年に1回、1月に開催される同コンクールは世界各国から一流シェフが集まる、まさに「美食のワールドカップ」。日本は大会が始まった1987年から参加しているが、これまでの最高位は3位と優勝経験がない。2023年の1月開催の19回目のコンクールでは悲願の優勝を目指すが、資金から人手、調理道具など、実は課題が山積。はたして日本はどこまで上り詰められるのか追っていく。
本戦に出るのも大変な大会
ボキューズ・ドールは、「現代フランス料理の父」と称される、ボキューズ氏が創設し、2年に1度行われている。ボキューズの出身地であり、今なお続く、三つ星レストランのある、聖地リヨンで開かれる。
優秀な料理人の発掘、育成のために、ボキューズ氏が発案したものであることはいうまでもない。日本では、その知名度はそれほど高くはないが、世界的には一流料理人への登竜門として、大変な重きがおかれている。世界76カ国の代表シェフがアジア・パシフィック、ヨーロッパ、南北アメリカ、アフリカの各大陸大会を経て、美食の都、リヨンで行われるフランス本戦を目指す。
本戦への道のりは厳しい。日本ではまず書類審査があり、これを通過すると、東日本、西日本地区に分かれ、準決勝となる実技審査がある。その後、国内大会決勝となる実技審査で日本代表が決まると、アジア大会に進める。ここで5位までに入賞すると、ようやく本戦に出られる。もちろん世界それぞれの地域も同等の厳しい戦いを潜り抜けて参加するのだ。
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