「世界一の美食大会」日本人が驚いたメイン食材 フランス料理の大会であんこうが選ばれたワケ

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ボキューズ・ドール本番での大皿料理のメイン食材はあんこうに決まったが、意外にも日本にとって「盲点」があったという(写真:たれぞう/PIXTA)
日本がこれまで優勝したことがない、世界最高峰のフランス料理の世界大会「ボキューズ・ドール国際料理コンクール」。2年に1回、1月に開催される同コンクールには世界各国から一流シェフが集まる、まさに「美食のワールドカップ」だ。
次回は2023年1月に開催される予定で、日本はこの大会での優勝に向けてトレーニングに励んでいるが、実は資金や人手、調理道具の調達など解決が必要な課題は少なくない。今回はついに本番で提供する「大皿料理」のテーマ食材について、その食材が選ばれたフランスらしい背景を考察する。

メイン食材は「あんこうと帆立」に

ボキューズ・ドールは、プラッターと呼ばれるフランスの伝統的「大皿料理」と、プレートと呼ばれる「皿盛り料理」で競われるが、それぞれメイン食材などが決められており、コンテスタントはその食材や細かい規定を守って調理しなければならない。それゆえ、テーマ食材は優勝を左右する非常に重要なものだ。

9月末に決まった今回の大皿料理のメイン食材は、あんこうと帆立貝、付け合わせがムール貝と豆類。日本チームは「久しぶりに魚かもしれない」と予想をしていただけに、「当たった!」という気持ちだったという。魚料理は日本チームが得意とするところだ。

とはいえ、一筋縄ではいかない。前述の通り、食材の利用には細かな規定があり、あんこうは頭なしで2尾を使用、魚の形を残さないとならない上、再構築、低温調理は認められない。同じくメインとなる帆立貝は、何かの形で盛り合わせるか、合体させる必要がある。ムール貝に関しては、豆類と合わせて調理しないといけない。しかも豆類は、自国の豆を用いるという細かい指定がある。

ところで、フランスであんこうを食べるのか、という疑問がわく読者も多いだろう。フランス語ではロット。南フランスでは日本のあんこうよりも小ぶりな2kg前後の「ブドン」と呼ばれるものが好んで使われるそうで、今回は、そのブドンが対象だ。過去にもあんこうがテーマだったこともあり、日本人が思うより身近な魚らしい。そうした食文化の片鱗に触れられるのも、ボキューズ・ドールを知る楽しさかもしれない。

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