「世界一の美食大会」日本人が驚いたメイン食材 フランス料理の大会であんこうが選ばれたワケ

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実は、海外ではこのやり方があたりまえ。日本ではこれまで資金的な問題でこうしたキッチンを作れなかったが、今回は公式スポンサーである、厨房機器のフジマックが、全面的にバックアップして、キッチンラボを提供した。これでようやく、1つ、海外に肩を並べることができたわけだ。

フジマックは14年前からボキューズ・ドールのスポンサーとして参画している。その意図を聞くと、フランス料理は、特に厨房機器のクオリティが料理のクオリティに直結するジャンルであり(日本料理などに比べ)、各国の一流店ではつねに最新の施設を備えているのだそうだ。

ボキューズ・ドールでよい成績を残すためには高性能の機材で訓練を積むことが必至で、その結果、よい成績を残せば、フランス料理業界全体の発展に非常に役立つことになる。同時に、厨房機器業界の成長にもつながるという。機能を少しでも高めることで、シェフの無駄な労力を減らし、働き方の改善に努めたいとも。日本チームにとっては、願ってもないスポンサードだ。

石井氏は「こうしたありがたいバックアップしていただいて改めて、日本代表になれたのも、決して自分ひとりの力で勝てたのではないということを思い知らされます。感謝の気持を忘れずに、本選までの残された短い期間、できる限りのことはしていくつもりです」と話す。

食文化のプレゼンも採点対象になることに

本番では今回から、各国がそれぞれその料理を作ったバックグラウンドを、自国の食文化を交えながらプレゼンし、それも採点対象になるという新ルールができた。食文化と言えば、日本には、古くからあんこうを食べてきた文化がある。「あんこうの7つ道具」と言われるように、捨てるところのない魚としても知られる。日本ほど、えら、ひれ、皮などをおいしく食べる技術持っている国はそうないだろう。

石井氏は言う。「あんこうの産地を訪れて勉強をしなくてはと思っています。あんこう鍋の味噌との合わせ方にしても、ヒレや皮を利用して、ゼラチン質でにこごりを作るなどの手法にも、絶対学べることはある。そうした食文化の中から汲み取れる、日本ならではのアドバンテージをなんとか生かしたい」。

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小松 宏子 フードジャーナリスト

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こまつ ひろこ / Hiroko Komatu

祖母が料理研究家の家庭に生まれ、幼い頃から料理に親しむ。雑誌や料理書を通して、日本の食文化を伝え残すことがライフワーク。近刊に『トップシェフが内緒で通う店150』(KADOKAWA)。

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