日本がずっと勝てない「美食の世界大会」のすごみ 世界から24人の精鋭が集まる食の最高峰対決

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筆者は2021年、軽井沢「レストラント エダ」戸枝忠孝氏が善戦した本戦を取材する機会を得た。12のキッチンが設置された会場で、シェフたちは2日にわたって、審査員、観客の目の前で、5時間半の持ち時間で、芸術的なる料理を仕上げる。

昨年の本戦の様子。緊張感が伝わってくる(写真:GL events/Bocuse d’Or 2021)

毎回テーマは2つあり、2021年は、コロナ禍をふまえ、トマトと海老がテーマのテイクアウェイボックス。もう1つは、毎年定番のフランスの伝統的プラッター(大皿盛り)の2テーマだ。

まるでサッカーのワールドカップのよう

各キッチンの前にはデジタル時計が配され、時間差で始まるそれぞれの持ち時間が刻々と刻まれていく。キッチンまわりでは、つねにアシスタント審査シェフたちが、監視の目を光らせ、素材を無駄に捨てていないか、キッチンを清潔に保っているかなど、料理人や人間としての基本を採点している。そんな緊張状態の中、出場シェフたちは、ひたすら集中して手を動かしていくのだ。

そうした厳正な審査の中、どれだけ粛々とコンクールが進められていくのだろうと日本人なら思うところだが、まったくその逆、各国の応援のすさまじさには度肝を抜かれる。自国の旗を振り、鳴物をならし、大合唱と、そのエキサイトぶりは、サッカーのワールドカップのようだ。

サッカーワールドカップ並みの熱い応援が繰り広げられる会場(写真:GL events/Bocuse d’Or 2021)

さて、その日の先頭のチームが残り1時間を切る頃、美しくセッティングされたロングテーブルに、審査員であるシェフたちが、列をなして入場し、席につく。会場の声援も一段と大きくなる。

彼らは、公平性を守るために、本線に出場する24カ国から選出された24人で構成されている。プラッター審査12人、テイクアウェイ審査12人に分かれて試食審査。この中には、日本が2013年に3位入賞を果たした、浜田統之氏も参加している。

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