日本がずっと勝てない「美食の世界大会」のすごみ 世界から24人の精鋭が集まる食の最高峰対決

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石井氏はボキューズ・ドールに出場した経緯を、「先輩であるひらまつに在籍していた長谷川幸太郎シェフが出場したボキューズ・ドールを目の当たりにし、カッコいいと思ったのが始まりです。どうしたらあの場所に立てるのか?何をすればいいのか?毎日の仕事を見直し、料理の引き出しを作ることに力を尽くしました。今は、本戦へ向けて、浜田さんや長谷川さんら先輩たちの力を借りながら、できる限りのことをするつもりです」と力強く宣言する。

2021年の日本チーム(写真:GL events/Bocuse d’Or 2021)写真右が浜田氏

浜田氏は言う。「勝てないのであれば、まずはその理由を分析しなければなりません。これまでの敗戦を無駄にしないためにも今年はすっかり体制を変えて臨みます。石井くんの代表が決定してすぐに、長谷川幸太郎氏を誘い、石井友之を中心にすえ、委員会を結成しました」。

日本はお金も時間も人も足りない

不足しているのはまず、第一に資金だという。フランスなどでは国家の威信をかけてのイベントという意識が強いので億単位のお金が投入されるそうだ。例えば、フランスが優勝すれば、使用した型が世界的に売れるといった具合でビジネスと直結している。同じ仕様のキッチンでも持ち込める器具なども桁違いだという。

2023年の本戦出場を目指すひらまつの石井氏(写真:石井氏提供)

また、参加するシェフは半年なり、1年なり、仕事を休んでコンクールの準備に専念する必要がある。2021年に参加した「レストラント エダ」の戸枝氏は個人店ながら、半年以上店を閉め、特訓を積んだ。

また、チームを組むアシスタントの仕事も実に重要で、あうんの呼吸で作業を進めていかなければならない。だから同じく半年近く仕事を休んで、専任とならなければならないが、日本ではなり手が見つけにくい。どこの店も人手が足りず、若い人を供出したがらないのだ。

さらには、日本側の姿勢の問題もあると浜田氏は言う。毎回、出ては惨敗という結果だけが残り、次につながるものが残されていないのだという。「毎年がゼロイチで、そのイチがニやサンにつながってこなかったのです。その流れを断ち切り、これまでの経験を積み上げ、同時に新しい試みにもチャレンジしながら、なんとか入賞を勝ち取りたい。問題は山積ですが」と浜田氏は言う。

次回からは、どのようなことが課題で、どのように取り組もうとしているのか、ひとつ1つ丁寧に紹介していきたい。

小松 宏子 フードジャーナリスト

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こまつ ひろこ / Hiroko Komatu

祖母が料理研究家の家庭に生まれ、幼い頃から料理に親しむ。雑誌や料理書を通して、日本の食文化を伝え残すことがライフワーク。近刊に『トップシェフが内緒で通う店150』(KADOKAWA)。

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