日常英語「ネイティブ的」VS「文法的」使い方のコツ 「I’m doing great!」の微妙なニュアンス

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ネイティブらしい用法で使われる「You’re doing fine. 」といった「単純形副詞(flat adverb)」。使うか使わないかはあなた次第……? (写真:amadank/PIXTA)

「先生、さっきYou should think positive.って言ってましたけど、You should think positively.の間違いじゃないですか」

レッスン後にやってきたハナコさんに質問されました。たしかに。positiveは形容詞ですので、本来think positivelyと副詞を使うのが文法的には適切です。でも、Drive safe! (安全運転を!)とかYou’re doing fine. (キミは問題なくできているよ)のように、日常会話では副詞の部分を形容詞の形にして使用することがよくあるんです。

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この形容詞の形をした副詞、文法的には「単純形副詞(flat adverb)」と呼ばれますが、今回はこの単純形副詞について考察してみました。ネイティブらしい用法ではありますが、文法的には微妙な表現。使うか使わないかはあなた次第です。

「文法的な正しさ」と「ネイティブらしさ」の狭間で

ハナコさんに質問されて、筆者もうっかりしていたことを反省しました。生徒の混乱を避けるという意味では、きちんとthink positivelyと言うべきだったと思います。とはいえ、活きた表現も身につけてほしいという気持ちもあり、杓子定規に文法的な正しさだけを追い求めることは、あまり好ましいとは思わないんですよね……。

いい機会だったので、あらためてLongman Grammar of Spoken and Written English (Biber et al., 1999, §7.12.2) で調べてみると、単純形副詞についての言及がありました。

From a prescriptive point of view, this use of the adjective form is often stigmatized as non-standard.
(規範的な見地からは、この形容詞形の用法は標準外という烙印をおされることが多い)

やはり文法的には好ましくないと認識されていることに間違いはないようです。しかも、stigmatize(~に汚名をきせる、~に〔as以下〕という烙印をおす)なんて書かれていますので、眉をひそめられる用法のようですね。ただし、以下のように記述が続いていました。

However, in some instances this usage is widespread, particularly in colloquial AmE.

(しかしながら、場合によってはこの用法は一般的であり、特にアメリカ英語の会話ではよく使われる)

つまり、文法的には好ましくないが、口語的な表現としてはアメリカで広く受け入れられているということ。冒頭にも書きましたが、実際に目や耳にする機会が多い表現ですので、やはり筆者としては生徒に教えておきたいですね。A Communicative Grammar of English, Third Edition (Leech and Svartvik, 2013, §447) にも同様な記述が見られました。

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