いまや社会現象とまで言われる『鬼滅の刃』。先日、鬼滅のコミック日本語版と英語版を比較する記事を書きましたが、それを読んだ知人たちから、「英語版のタイトルがDemon Slayerってことだけど、『鬼』って、なんかdemonって感じじゃないよねー」とコメントをもらいました。「全体的に秀逸な訳だ」と感動していた筆者は衝撃を受けながらも、「確かに日本語で表される特有の世界観ってあるよね」とちょっと納得。
まだ2021年のいつなのか具体的な日付は発表されていませんが、アメリカやカナダでも『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の公開が予定されているようです。コミック英語版は読んだものの、映画はどんなふうに英訳されるのだろうと気になり、現時点で確認できる予告編をチェックしてみました。
今回は、なんとか「英語でも伝えたい」鬼滅の世界観を考察してみます。皆さんだったら、あの煉獄さんの名セリフ、どんなふうに英訳しますか。
「無限列車」の訳の謎
まずはタイトルですが、前回記事でも触れましたが、「鬼」はdemonと訳さずに、oniのままのほうがよかったのではないかという点。確かに、demonは、一般的には悪魔といった意味。日本の「鬼」はイメージできないですよね。ただ、「鬼」というものがそもそも英語に存在しないので、できるだけ近いものに置き換えるというのは、意味を伝えるという点では仕方なかったのかなと思います。
例えば、Demon Slayer (鬼滅の刃)の代わりにOni Slayerというタイトルにした場合、日本語や鬼滅を知らない人にとっては意味のわからないタイトルになってしまいます。
もちろん、そのタイトルをきっかけに「oniとはなんぞや」を知ってもらおうということは可能かもしれません。きっと鬼滅の世界観を大切にしたいファンであればあるほど、「日本語のまま受け入れてくれ!」という気持ちになるのは筆者も理解できます。でも、「『ユビキタス』って何? 『アジェンダ』って何?」と難解な外来語で困り果てる筆者の母親みたいな人が、英語圏にたくさん生まれるのかと思うと、個人的には「demonでなんとか許してあげて!」と思ったりも(笑)。
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