社会人大学院で「生涯の同志」得た41歳男性の青春 涙や退社伴う「大人の自分探し」の末に得たもの

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角田:授業のスケジュールはどんな感じでしたか?

國則:1年生の時は、90分の授業を2コマ、それを週4日という感じでした。それぐらい取らないと、2年が大変だと言われていたんです。なので、平日は夜の18時半から22時頃までで、土日出れる人は土日も、という感じですね。

角田:國則さんが取得されたMPD(事業構想修士)という学位は、MBA(経営学修士)と比べると知名度が低いかもしれません。学び方もイメージしにくい印象ですが、「事業を構想する」のをどう学ぶんですか?

國則:MPDは英語で「Master of Project Design」。もちろんMBAとかぶる部分もありますが、わかりやすく言えば、経営学が「1から10」を深く学ぶのに対し、MPDは「0から1」をより重視する、という感じでしょうか。

授業では座学のほか、アンケートを取ったり、企業訪問等のフィールドワークをしたり、クラスメートや講師相手にビジネスアイデアのプレゼンをしたり、いろんなことをしていましたね。

最終的に提出するのも、一般の大学院のような(修士)論文ではなく、新規ビジネスについて具体的に記した「事業構想計画書」なんですよ。

角田:とても実践的ですね。すでにあるものをスケールさせるのではなく、自分が作りたいビジネスを、ゼロベースから考えると。

國則:そうなんです。なので、中にはアイデア発想法の授業もありましたし、そこでは「来週までに100案ね」と言われたこともありました。

角田:若手デザイナーやコピーライターみたいですね。でも、國則さんのお仕事内容的に、大学院に入る以前もそういうことはやっていましたよね?

國則:やっていました。ただ、今思えば、雰囲気でやってたなと思います。課題ではフレームワークなどの基礎を習いますし、「明日までに100案ね」の時は、アイデアの発想法も指定されていましたから。

その結果、自分ひとりで考えることの限界に気づきましたね。パソコンと向き合っていても、自分の中の知識とネットに書いてある情報しか参考にできないけど、ほかの人を相手に喋って、壁打ちしていたら、不思議と「こういうものあるよな」って気づきがあるんですね。

「大人の自分探し」で退社選ぶ人も

國則:授業の中では、「人生をかけてやりたいことは?」と、そもそもの動機を見つめ直す時間もあったのですが、自分の掘り起こしをするなかで、涙を流す人もいたのは印象的でした。僕は「絵本事業をやる」って決めて入っているので、迷いはなかったですけど……。

角田:「入学したはいいけど、自分はこれから何をやればいいんだろう」って悩む人も出てくるんですね。

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