東大大学院に入学したワケ
はじめてお会いする方に名刺を渡す時、「今、大学院生なんです」と言うと、「えっ、スゴい!」と驚かれることが多いです。でも、中には「働きながらですか?」「実は自分も行こうか考えてて……」と打ち明けてくださる方もいて、多くの方が学び直すことに興味を持っているんだと感じています。
申し遅れました。バラエティープロデューサーの角田陽一郎です。
94年の入社から2016年まで、TBSでバラエティー番組を作ってきました。退社してからはフリーの「バラエティープロデューサー」として、番組の企画から書籍の執筆まで幅広く行っています。
テレビマンが長く自己紹介するとチャラく見えそうなのでこの辺にして(笑)、そんな僕が働きながら大学院に通っているワケを話していきたいと思います。
「なぜ大学院に入ったの?」
「文化資源学って一体何?」
これらの疑問に答えるには、まず僕の経歴から説明しないといけません。
もともと、僕は東京大学文学部西洋史学科の出身です。西洋史を選んだ理由は、歴史が好き……というよりも、「歴史をやっておけば、あらゆる学問が学べてお得だな」と思ったから。日本史ではなく世界史というのもその考えからで、つねに「包括されている学問が一番面白いな」と思ってきました。
TBSに入ってバラエティー制作に行ったのもまったく同じ理由です。報道部は報道しかできないし、ドラマ班はドラマしかできないけど、多様という意味があるバラエティーなら、ハードなドキュメンタリーや真面目な教養番組も、それこそエッチな深夜番組まで作れます。
そんななか、会社のために視聴率を取ることに嫌気が差し、「社会の役に立つ番組を作っていこう」と思って2016年にTBSを辞めたわけですが、2018年の夏に大阪で、立命館大学の小川さやか教授(当時准教授)と対談する機会があって。盛り上がって打ち上げをしたんですが、その席で「角田さん、大学院に行ったほうがいいんじゃないですか?」と言われたんです。
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