社会人になってから大学・大学院などでの学び直しを経験し、それをキャリアに活かした人たちにインタビューする本連載。
人生100年時代が到来し、70歳~75歳まで働くことが当たり前のことになろうとしている今、「仕事にありつく」という意味でも、学び直しは急務になっている。「意識高い系」と揶揄している余裕はもうないのだ。
だが、当事者たちに話を聞くなかで浮かび上がるのは、「企業側の支援や理解の乏しさ」だ。学生時代に大変だった「学ぶこと」が、大人になって楽になることはない。日本の会社員は事実上、企業側から学びなおしのフォローをほとんど受けられていない。そうしたなか、どうすれば人は学び続けることができるのか。
予防医学研究者であり、行動科学やウェルビーイング(「幸福で肉体的、精神的、社会的すべてにおいて満たされた状態」を指す言葉)など多彩な専門領域で活躍する「学びのプロ」石川善樹氏に、自身も東大大学院に通うバラエティプロデューサーの角田陽一郎氏が、学び続けるための極意を聞いた。
幼少期からウェルビーイングの英才教育
角田:石川先生は、予防医学をはじめ、さまざまなジャンルで活躍される、いわば「学びのプロ」です。そんな石川先生が、予防医学を専門に選んだ理由は?
石川:もともと父(石川雄一氏)が予防医学の研究者であり実践者なんです。歌舞伎役者の子供が歌舞伎をやるような感じです。「予防とはなにか?」とか、「元気すぎてもよくなくて、病気から学べることもある」といったことを、物心ついた頃から聞かされていました。
角田:ウェルビーイングについて、幼少期から聞いていたんですね。
石川:はい。一口に予防と言っても「病気を予防するのか」と「元気なところから転落するのを予防するのか」ではぜんぜん違うんですよ。
角田:なるほど。
石川:だから、この道に進んだこと自体には、あまり大きなきっかけはないんです。
角田:石川先生の現在のお仕事は、個人的な趣味嗜好、好きなこと、やりたいこととどんなつながりがあるんでしょう?
トピックボードAD
有料会員限定記事
キャリア・教育の人気記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら