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社員を「人材」と呼ぶ日本企業がダメな根本理由 従業員報われぬ株主資本主義が続く社会だが…

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  • 角田 陽一郎 バラエティプロデューサー/文化資源学研究者
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石川:人間をなんだと思っているんだ、とは思いますよね(笑)。

角田:ですよねえ!

石川:たとえば「ヒューマンリソース」という言葉にあらわれているように、企業は人間をリソースと捉えているんです。でも、そもそも人間って「ヒューマンビーイング」なんですよね。

角田:わかります。僕は「人材」という言葉が大嫌いなんです。「材料なのかよ!」って。

石川:リソースとして捉えてもいいけど、「ヒューマンをビーイングと捉えてますか?」というのが、根底にあるべきなんですよ。

角田:石川先生の研究テーマ「ウェルビーイング」にもつながってくる話ですよね。

でも、今の日本企業ではあるがままを尊重されることは少なく、「儲けないと会社にいる意味ないよ」と言われてしまうように感じます。

ただ僕としては、本来はいるだけで意味があるはずだし、それは決してぬるま湯とかではなくて、いろんな人がいたほうが、結果的に組織も儲けられると思うんですよ。

石川:Googleがきっかけで広がった、「心理的安全性」という概念(※)があります。あそこって能力的に、2種類の人しかいないんです。優秀な人と超優秀な人です。

(編集注:心理的安全性は「チームメンバーに非難される不安を感じることなく、安心して自身の意見を伝えることができる状態」のこと)

角田:なるほど、それはすごい(笑)。

石川:つまり、ひとりひとりはまったく問題ない人材なのに、不思議とチーム単位になると、パフォーマンスにばらつきが出ていたんです。そこで研究が行われたわけですが、判明したのは、「どういうことをする人なのか」より「ひとりの人間として、きちんと尊重されている気がするか」ということでした。

角田:それが心理的安全性だと。

石川:何をするかではなく、そもそも人として見られているか、存在そのものが受け入れられてるかが、結果的にチームのパフォーマンスにも反映されていたわけです。成果主義・能力主義は、日本では90年代に始まり、30年もの間続いてきました。ここにきて、ようやく「being」を大切にする方向に寄ってきたと感じています。

「あるがまま」を大事にする大切さ

角田:それって学び直しにも通じる話だと感じます。というのも、僕はかねて、「学び直しは、自分を強化したり、武装するものではなく、より自分らしくなるためにするもの」だと訴えているんです。

例えばこの連載の第1回では、本当は『世界ふしぎ発見!』のレポーターになりたかったのに、自分を強くするためにMBAの取得を考えていた後輩の女性アナウンサーの話をしました。

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【「doing」重視に染まる危険性】

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