石川:自分は仕事と趣味の切り分けがあまりないんです。そして、自分が興味あるかないかを、あまり重要視していなくて。「興味があるからやる/ないからやらない」ではなく、「興味があることはどうせ取り組む。だからこそ、興味がないことこそ、しっかり取り組まないといけない」と考えてきました。
東大の学生だった頃の話ですが、もともと高校までスポーツをする人間でなかったにもかかわらず、体育会系の部活(ラクロス部)に入ったことがあるんです。
角田:辛い受験を突破して、遊びたかったのに、ですよね。
石川:そう、遊びたかったのに、です(笑)。おまけに、スポーツは苦手で、やりたくなかった。でも、いざ始めてみると、のめり込むことになりました。この経験を経て思ったのは、「入り口だけで判断してはいけない」ということ。楽そうで楽しそうなことは誰でも興味を持つわけで、そんなのは他の人もやるし、熾烈な競争になるだけだと思うんです。
日本企業で「学び直し」進まない訳
角田:本題に入りますが、石川先生は、企業と熱心に学際的研究をされていますよね。日本における学び直しの実態を、どのように思われていますか?
石川:一般論として、給料の面でも教育研修の面でも、日本企業は人材投資をあまりしないですよね。他国と比較すると顕著で、Amazonなど、欧米の企業は人材研修に巨額のお金を投資しています。
(※編集補:従業員の再教育に、2025年までに7億ドルを投じることをAmazonは2019年7月に発表している。従業員1人あたりで実に約7000ドルという大きさだ。なお他にもAT&Tなど、社員の再教育に巨額の費用を投資する会社は他にも存在する)
石川:そこには構造的な問題があります。とくに過去30年間、日本企業はなかなか伸び悩んできました。それでも過去20年間を振り返れば、全体として利益は出し続けてきました。
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