社会人大学院で「生涯の同志」得た41歳男性の青春 涙や退社伴う「大人の自分探し」の末に得たもの

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國則:そうなんです。言ってしまえば、大人の自分探しですよね。その結果、会社を辞めちゃう人も結構いました。

角田:自分でビジネスを考えたり、ビジネスを考えるほかのクラスメートの姿を見て、「今の会社にいちゃダメだ」と思うと……。

國則:クラスメートには個人で来ている人と、会社に言われて来ている人がいて、前者で退社を選ぶ人はさすがにいなかったですけど、個人で来ている人は、なにか悩みがあったり、なにかしたいって思って来てるわけですからね。「何年も社会人をやってきた大人が学び直すと、こういうことになるんだな」と感じました。

年齢や役職の異なる人とも親しくなれた

角田:同級生はどんな方々でしたか?

國則:僕がいた東京のクラスは40名ほどで、大手企業の新規事業担当とか、部長クラスが多かったですね。当時、僕は40歳になろうとしていた時期でしたが、年下は5~6人で、ほとんどが年上でした。男女比は8対2ぐらいでした。

角田:つまり、おじさんが多数派だったと(笑)。それはさておき、僕自身が東大大学院で学び直すなかで感じたことですが、大人になって学び直しにいくと、人脈が圧倒的に増えませんか?

國則:自分もそう思いますし、人脈の性質も変わると思います。

角田:と言いますと?

國則:たとえば僕の話で言うと、普段から接する人といえば、フリーランス仲間や同世代の経営者ばかりで、サラリーマンと触れ合わなくなってきていたんです。

角田:たしかに、似た者同士で固まりがちですよね。

國則:でも、大学院ではクラスメートのほとんどがサラリーマンで、しかも先程も述べたように部長クラスの人が多かった。受託制作業の性質もあって、大手企業と仕事することがあっても接するのは現場の人たちなので、部長クラスに会うことってあまりないし、会ったとしてもお偉いさんなのでこっちは下から目線になってしまうんですけど、大学院で出会う人たちは同級生なのでめちゃくちゃ仲良くなれるんです。

角田:年齢とか役職が関係ない関係性というか。

國則:あとは、ポジティブな話しかしないのも良かったですね。みんな、それぞれ悩んでいるから大学院に来ているわけで、それを共有しあって、相談しあうなかで自然と友達になる。この歳になって、新しい友達ができる感覚って、なかなかないじゃないですか。

角田:すごくわかります。時々、「社会人になってから、友達ってできたことあるかなあ?」と振り返ることがあるんですけど、やっぱりゼロですもん。

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