(第58回)人事は大学のキャリア教育をどう評価しているか?

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(第58回)人事は大学のキャリア教育をどう評価しているか?

HRプロ株式会社
 前回は、採用担当者による「今どきの学生」への評価を紹介した。「名ばかり大学生」「何となく大学生」は確かに増大している。伝統的に日本企業は「文系の場合、大学での専攻は気にしない。わが社に合う人材なら入社後に育てる」という人材観を持っていた。
 しかし、最近はそうも言っていられなくなった。2011年度採用活動では、学生は集まったが、食指が動く学生の比率が低い。採用しても扱いが難しく、なかなか育たないまま辞めてしまう。

 そこで注目されているのが、大学でのキャリア教育(キャリアガイダンス)だ。社会人として働くための「読み書きそろばん」能力に加え、働くということの意味、コミュニケーション力、思考力、理解力などの基本能力を大学が学生に教え、学ばせようというものだ。
 さて、この大学のキャリア教育を人事はどのように評価しているのだろうか?

●2011年度から職業指導教育と就職者数などの情報公開が義務化。厳しい中下位校

 現在のキャリア教育について整理しておこう。まず文科省の動きだ。大学設置基準を改正し、大学と短大の教育課程に職業指導(キャリア教育と同じ意味)を盛り込むことが義務化され、2011年度から実施される。この職業指導教育は、7年ごとに受ける第三者の認証評価機関などの評価対象にもなり、結果が公表される。受験生の大学選びの理由の1つになる可能性もある。

 もう1つ大きな改正がある。同じく2011年度から入学者数や就職者数の情報公開を大学や短大、大学院、高等専門学校に義務づけたのだ。これは大学にとって、とりわけ中下位校にとって厳しい義務だ。情報公開が義務づけられるのは、入学者数や在学生数、定員、卒業・修了者数のほか、進学・就職者数といった進学就職状況も含まれる。
 大学は閉鎖的な組織で情報公開に消極的だった。在校生総数すら開示していない大学もかなりある。就職率は公表されているが、母数が怪しい。「就職率90%以上」をうたう無名校の場合、母数を極端に削って就職率を上げているに決まっている。しかし今回の義務づけで実態が見えてくる。そして大学の就職力がハッキリする。

 だから中下位校ほどキャリア教育に熱心だ。低い就職率では入学者が集まらず、大学の存続が危うくなるからだ。日本学生支援機構のまとめでは、就職セミナーやガイダンスなどを実施する大学は全体の91.8%、短大で95.7%。職業意識を育てることを目的にした授業科目を開設している大学は74.3%、短大は72.4%となっている。

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