HRプロ株式会社
この1年間で就活・採活(採用活動)のあり方が社会問題化し、新聞やビジネス誌でも頻繁に取り上げられている。大手商社7社が中心となり、2013年春入社から新卒採用の選考時期を遅らせるよう日本経団連に要請するというニュースも報道されている。このような動きを人事はどのように考えているのだろうか?「選考時期を4年生の夏以降に!?」という新聞報道に対する各社人事へのアンケート調査を、HRプロが10月初めに行っている。このデータを用いて、選考時期に関する人事のホンネを探ってみたい。
●「学業への悪影響」については半数強が肯定、半数弱が否定と割れている
大手商社が、日本経団連に新卒の採用選考時期を最終学年の4月以降から夏以降に遅らせるよう要請したが、その大きな理由が「学業への悪影響」だ。これに同調する一部マスコミでは、早期化した採用活動の弊害として、「学業への悪影響」を判を押したように強調している。大学生の本分は勉強だからいかにも正しいように見えるが、本当なのだろうか。図表1:選考時期を遅らせることで、学業への悪影響が減ると思いますか。
今回の調査では、学生をよく知っている人事に「選考時期を遅らせることで、学業への悪影響が減ると思いますか」と問うた。その結果は「思う(21.6%)」「どちらかというと思う(27.9%)」で計49.5%と半数が肯定的。「思わない(31.0%)」「どちらかというと思わない(12.2%)」で計43.2%が否定的と、意見が割れている。
「思う」理由については、当然ながら学事日程に配慮した採活にしたいという理由だった。
・現状の選考時期は4月で、多くの大学が学期中。選考時期を7~8月にすれば、夏休みを利用した就職活動が可能となる。
・3年生は専門分野の学業に専念し、就活は4年生からでも十分だと思う。
・3年生の冬から4年生の夏は卒論(卒研、卒製)仕上げの大事な時期
「思わない」理由は辛辣である。
・就職活動以前に、大学や個人によって基礎学力に著しい格差がある。選考時期をいくら遅くしようと、大学生の基礎学力格差が縮まらなければ、企業が大学生に求めているレベルの基礎学力を持たない学生は採用できない。就職活動に費やす数カ月が問題なのではなく、大学4年生まで在学させても高等学校以下の学力しか身に付けられていない大学が存在することが問題なのである。
・大学ではそもそも勉強を行っていないから
・学生が学業に専念したいと思っているのか疑問
勉強する学生(欲しい)学生には学業に集中させてやりたいが、中学並みの学力すら持っていない(欲しくない)名ばかり大学生に配慮しても仕方ない、という趣旨に読める。
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