データは「文系、理系、大学院生の採用時期を統一しなくてよいか」の可否を問うた結果である。【メーカー】【非メーカー】に分けて見てみよう。
2つのグラフを見てすぐに気づくのは、【非メーカー】は規模別のブレが少ないこと。【メーカー】は規模別でかなり異なる回答傾向になっている。その理由は【非メーカー】が理系を採用することがまれなためだろう。
理系採用に限らないが、採用対象とする学生層は規模によって変わってくる。知名度の高い大企業は上位校を狙えるが、中堅の場合は難しい。そのような採用実態の違いもデータに反映されていると思われる。
この種のアンケートでは「どちらともいえない」は少なく、10%台のことが多いが、今回のアンケートではかなり高い。特に【メーカー】が高く、回答しづらい問いだったようだ。
「思う」理由を紹介しておこう。
・理系の場合、春の学会(春休み~GW)の予稿集締切が1月中旬で、その後は学会直前の準備期間を除き比較的余裕があり、この時期の選考を希望する先生が多数いるなど、画一的な規制はかえってマイナスと考える。
・理系の中でも、卒研の成果のあり方が異なる。卒研の成果レベルが高ければ高いほど、学生側は就活と卒研とで、板挟みになると思う。大学院の場合においては、より研究成果が求められるので、さらに厳しいだろう。
・理系に関しては後期の卒研があるので、早めに就職先を決めて研究に本腰を入れられるようにすべきだと思う。
上記はメーカーからの回答であり、理系の特殊性を人事は的確に理解している。
「思わない」理由は、時期を分けることを疑問視するものが多い。
・大学院生と4年生の採用枠をはっきりと分けることは難しい。分けた場合、4年生に不利になるのではないか。
・卒論の提出時期と就職活動の時期が重なる場合も考えられるが、早期に就職先が決定していれば安心して活動に専念できると思う。また、卒論のない大学もあるようだ。
・文理を明確に分けられない学部が出てきている。また、大学院への進学も未内定回避のためが多く、実態が乖離している現実があると思う。
「思わない」理由は、現在の大学のあり方を批判しているようにも読める。卒論のない大学、学問のためでなく未内定のための院進学。いずれも大学に責任があるが、そんな大学を許容してきた社会全体の問題でもある。
(本社:東京千代田区、代表取締役:寺澤康介)
採用担当者、教育・研修担当者をはじめとしたHR担当者のための専門サイト「プロ.com」シリーズを運営。新卒/中途採用、教育・研修、労務、人事戦略などの業務に役立つニュース、ノウハウ、サービス情報、セミナー情報を提供している。HR担当者向けのセミナーも東京・大阪で開催している。
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