棚橋:小学校とか中学校のころ、ふと、「いま習っている算数が、将来役に立つんだろうか」なんて、疑問に思うことがあるじゃないですか。僕は小学校に講演に行かせてもらうと、「全部役に立つから、やっときな」って言うんですよ。僕も最初からプロレスラーになりたかったわけじゃない。ずっと野球をやっていて、野球選手になりたかったけれどなれなかった。新聞記者になろうと思ったり、大学教授になろうと思ったこともあります。今でも探偵になりたいと思うことがありますね。
塩野:棚橋さんが探偵だったら目立ちますよ。
棚橋:電信柱から肩幅が出ちゃいます(笑)。野球で培った基礎体力がいま役に立っているし、高校の先生が筋力トレーニングにすごく熱心だったので、高校でつけた基礎的な筋肉が大学で役に立った。
大学で勉強した経験も、立命館大学卒ということで、今はいろいろと重宝しています。だから子どもたちには、「全部自分の財産になるんだから、無駄なことはひとつもないよ。夢は変わってもいいよ。でも夢に向かって過ごした時間は、全部自分の厚みになっていくから」ということをよくしゃべってます。
塩野:「宿題代行業」とかある世の中で、それはありとあらゆる子どもたちに言って欲しいですね。
棚橋:すでに将来の夢を持っている子は半分くらいいるけれど、もう半分は夢が定まってない。だから「夢を持て」と言うよりも、「夢なんかこれから見つければいいし、この先変わってもいい。でもそこに向かって走っている時は頑張りなよ」という言い方をすると、子どもたちにプレッシャーを与えなくて済む。それに「いまやってることに意味があるんだな」と、うっすら思ってもらえるので。
高校は1位で卒業
塩野:夢を強制されるとイヤになっちゃいますからね。ところで棚橋選手は子どもの頃、とても勉強ができたと聞いています。高校も全校1位で卒業したと。
棚橋:そういう瞬発力はけっこうありましたね。
塩野:でも1位ってなれないものですよ。
棚橋:僕の通っていた高校は岐阜県大垣市という小さい市にあって、市内で4番めくらいの進学校でした。僕はその高校に1番で入って、在学中にグーッと下がって、出るときはまた1番。いちばん格好いいパターン(笑)。
塩野:それで大学卒業後に新日本プロレスに入られて、鈴木健想さん(現:KENSO)と同期になった。当時ご自分と鈴木健想さんを比べて、無名の自分がどうすれば彼に勝てるかと考えたそうですね。ビジネスマンも、同期で入ったやつと自分を比べて、「なんだオレ、普通じゃん」とショックを受けるようなことがあると思うんですよ。
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