英語が下手な人は「主語の大切さ」がわかってない 「単語の置き換え」を始めると必ず行き詰まる

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英語と日本語では主語の役割が大きく違います(写真:CORA/PIXTA)
英語をマスターするためには、日本語との違いを意識しながら学習すると理解が進みます。では、具体的にはどう違うのか。高度経済成長期に、アメリカ国務省で日本語通訳として働いた経験を持つ長部三郎氏の著書『伝わる英語表現法』から一部抜粋・再構成して、解説します。今回はその後編です。
前編:日本人の英語が海外で今一つ伝わらない根本原因

英語をかんがえるときはいつも「主語」を意識する

③英語は「構造的」

英語は「構造的な言語」(a structured language)だといわれます。英語の構造性は日本語と比べてみると、それがひときわ鮮明になります。まず、誰でも知っている「主語+動詞」の構造、これが徹底していること。そしてその主語の役割が、日本語と英語では大きく違うことです。

日本語では主語は省略されることが多く、どんな言葉でも主語にできるわけではない、という事実があります。一方英語は、必ず主語があり、しかも何でも主語にすることができます。ですから私たちとしては、英語を考えるときはいつも、特に主語を意識することが必要です。

「源氏物語」の有名な冒頭の部分に、こんな文があります。

「朝夕の宮仕につけても、人の心をのみ動かし、恨みを負ふつもりにやありけん、いとあつしくなりゆき、もの心細げに里がちなるを、いよいよあかずあはれなるものに思ほして、人のそしりをもえ憚らせたまはず、世の例にもなりぬべき御もてなしなり。」(桐壺)

これは1センテンスですが、主語が一切ありません。しかしよく読むと、細かい言葉の意味はさておいても、「いよいよあかずあはれなるものに思ほして」から主語が変わることがわかります。「谷崎源氏」として知られている谷崎潤一郎の現代語訳はこうなっています。

「そんなことから、朝夕の宮仕えにつけても、朋輩方の感情を一途に害したり、恨みを買ったりしましたのが積り積ったせいでしょうか、ひどく病身になって行って、何となく心細そうに、ともすると里へ退って暮すようになりましたが、帝はいよいよたまらなくいとしいものに思し召して、人の非難をもお構いにならず、世の語り草にもなりそうな扱いをなさいます。」(『新々訳源氏物語』巻1、中央公論社、1965、15版、3ページ)

これは原文の区切り方に忠実に訳されています。前半の主語は依然ありませんが、後半に入るところで「帝(みかど)は」と、主語が説明として加えられています。前半の主語は、もちろん別人で帝が寵愛する女御というわけです。

次ページ源氏物語の古典的英訳を見てみると
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