「不安になりにくい人」がやっている日々の習慣 「いつでも仮面を外せる」ようにしているか
「安心」とコミュニティの関係性は深い
羽賀:僕にとって「安心」とはどんな状況なのかを考えたとき、まず浮かんだのが『宇宙兄弟』のアシスタントをしていたころの、作業をしている時間でした。小山宙哉さんから「ここの背景を描いて」などと言われて、決められた作業をしているあいだは、わりと安心していたなあと。
石川:やることが明確なうえに集中できるからね。アシスタント業務を終えて職場を出るときは、どんな心理状態なの?
羽賀:「疲れたなあ」という気持ちと、自宅に帰ったら自分の作品をやらねばという気持ちがあって、モヤッとしますね。当時はネームができると小山さんに見てもらっていたので、「また今日も見せられなかった……」なんて思っていました。
このモヤッとした感情を解消するにはネームを進めるしかないんですけれど、そこがうまくいっていないから、同じ感情がグルグルと回っている状態です……。
佐渡島:アシスタントとして背景を描くこととネームを考えること、どちらもやることは明確だけれど違いはあるのかな。
石川:難易度が違うと思う。でも羽賀君が『宇宙兄弟』のアシスタントをして感じていた「安心」って、役割を与えられている期間限定で維持できるものだよね。
1人のマンガ家として考えた場合でも維持できるかは別の問題で、今度は違う種類の不安が出てくるのでは? このままずっとアシスタントをやっていくべきか、とか。
羽賀:確かに目の前の作業に集中することで、ほかのことを考えずにいられるという側面はあります。ただそれとは別に、「自分はここに所属しているんだ」という安心感もあるんですよ。
佐渡島:「安心」とコミュニティの関係性は深いと思う。コミュニティの中で決められた役割があると「安心」が生まれるわけで、まさにその条件を満たしているね。ちなみに羽賀君が人生で一番安心していたときは? 大学時代とか?