「不安になりにくい人」がやっている日々の習慣 「いつでも仮面を外せる」ようにしているか

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石川:演じていない「自分」を理解できていれば、どんな役でも自由自在に行き来することができるという考え方なのだと思う。

学生時代の同級生とか昔の友人に会うと安心するのは、「まだ何者でもなかったころの自分」を知ってくれているからじゃないかな。

特定の仮面に執着しないことが大切

佐渡島:でもさ、今の自分の環境がすごく変わっている場合、昔の友人に会うと居心地が悪くなる人もいない?

石川:確かに(笑)!

佐渡島:たとえばスクールカーストが存在するような学校で、そこから抜け出したいと思っていた人にとっては、現在のほうが素の自分かもしれない。

石川:そう考えていくと、「素の自分」という概念すらあいまいになるな。むしろ大切なのは、特定の仮面に執着しないことだね。社会的な関わりの中で生きる以上、いくつもの仮面を持つことは避けられないけれど、「自分はいつでもこの仮面を外せる」という自信が「安心」につながるのかも。たとえば有名企業の社員だとして、「〇〇社の一員」という仮面だけを拠り所にすると、それを外したときの自分が何者でもないような気がしてしまうのでは?

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佐渡島:それ、僕はまさに「会社を辞めるとき不安じゃなかったの?」と聞かれた(笑)。でも僕としては、将来、自分の人生をコントロールできなくなることのほうが不安だった。

「安心」ってかぎりなくコントローラブルというか、自分で作り出したり操縦したりできる感覚と結びつくな。生活環境やコミュニティにおける「身体的安全性」と「心理的安全性」を確保することで土台が固まり、そこから「安心」が生まれるイメージ。

羽賀君はどう感じた?

羽賀:僕はこのテーマを話す前は、「不安をなくせば安心できる」という考え方に近かったと思います。でも「不安を消すこと」が、必ずしも「安心」にそのまま結びつくわけではないのかもしれない。どうすれば自分が安心を感じられるのかをもっと知って、そういう場を増やしていきたいです。

佐渡島 庸平 コルク代表取締役社長CEO/ 編集者

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さどしま ようへい / Youhei Sadoshima

1979年生まれ。中学時代を南アフリカ共和国で過ごし、灘高校に進学。東京大学文学部を卒業後、2002年に講談社に入社し、『週刊モーニング』編集部に所属。三田紀房『ドラゴン桜』を担当。小山宙哉『宇宙兄弟』のTVアニメ、映画実写化を実現する。伊坂幸太郎、平野啓一郎など小説も担当。2012年、講談社を退社し、クリエイターのエージェント会社・株式会社コルクを創業。インターネット時代のエンターテインメントのあり方を模索し続けている。

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石川 善樹 予防医学研究者

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いしかわ よしき / Yoshiki Ishikawa

1981年、広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院修了後、自治医科大学で博士(医学)取得。(株)Campus for H共同創業者。「人がよりよく生きる(Well-being)とは何か」をテーマとして、企業や大学と学際的研究を行う。 専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学など。

Twitter:@ishikun3

個人HP:yoshikiishikawa.com

 

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羽賀 翔一 漫画家

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はが しょういち / Shoichi Haga

コルクスタジオ所属。1986年生まれ。2010年、『インチキ君』で第27回MANGA OPEN奨励賞を受賞。『ケシゴムライフ』でデビュー。『漫画 君たちはどう生きるか』で一躍注目を浴びる。

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