現代を生きる私たちが「絶望」しやすい根本理由

「何かを成し遂げなければならない」という病

写真左より石川善樹氏、佐渡島庸平氏、羽賀翔一氏(写真提供:学研プラス)
自分にとって怒りとは、悲しみとは何か──。感情の一つひとつを認知し、解像度をどれだけ高められるかによって、あらゆるインプットやアウトプットが変わってくる。
感情は、すぐに脳をジャックす』より、コルク代表で編集者の佐渡島庸平氏、予防医学研究者の石川善樹氏、漫画家の羽賀翔一氏による鼎談を抜粋してご紹介します。

希望を抱いた瞬間に、絶望もまた存在している

石川望みが絶たれた状態を「絶望」とするならば、「希望」についても一緒に考えていく必要があるね。僕は昔、とある野望ができたことで絶望するようになった。

佐渡島:どんな野望だったの?

石川:「俺は人類の英知に貢献するんだ!」という野望(笑)。30歳前後の時期に、ようやく「自分もそこを目指していいかな」と思えるようになって。でも野望を持ったことで、夜、寝る前に「また今日も人類の英知に何も貢献できなかった……」って愕然とするんだよ。そんな絶望の日々が3年ほど続いて、「このままじゃダメだ!」と。人類の英知に貢献できたかどうかを、1日の基準として生きちゃいけないと思った(笑)。

だから自分にとって何があれば満足なのか、不満を抱かずに1日を終えられるのかを考えてみた。わかったのは、自分なりの「発見」があれば満足するし、不満もなくなるってこと。それからは、どんなに小さくてもいいから必ず何か1つ発見をして、1日を終えることを心がけるようになった。

佐渡島:自分自身を成長させるということ?

石川:成長というよりは「気づき」や「学び」に近いかな。「これは面白い!」と感じることを1つ発見するだけでもいい。意識そのものが変わったんだよね。

今日もここに来る途中、ビルの入口で「部外者の方へ 当ビルは残念ながら共同トイレはありません」と書かれた張り紙を見つけたのだけれど、この「残念ながら」と言いつつも偉そうな感じが面白くて(笑)。「これを書いた人は、なぜあえて〝残念ながら〞を入れたのか!?」なんて考えていた。こんなレベルでも、1日が面白かったと思えるきっかけになる。

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