図で理解するという「思考の型」
西岡壱誠(以下、西岡):『武器としての図で考える習慣』には大変感銘を受けました。実は僕は、東大入試においても、図式化が有効だと感じた体験があるんです。
僕は偏差値35から東大を目指して2浪しましたが、受験勉強をはじめた当初は、ノートもただ写すだけで、大事なポイントがわかっていませんでした。ところが、合格した友人たちのノートを譲り受けたとき、彼らが図を描いて問題を整理していることを知ったんです。
それを参考にして、例えば世界史ならヨコ軸に「フランス」「イギリス」、タテ軸に「17世紀」「18世紀」をとった2×2のマトリクス(「田の字」の図)で考えてみると、余計な枝葉が消えて、思考が整理されました。平井先生は、どういうきっかけで図を使われるようになったのですか?
平井孝志(以下、平井):「田の字」の図と出会ったのは、就職してからです。大学院までは物理を専攻していましたので、図で考える癖はありましたが、すべてはヨコ軸がインプット、タテ軸がアウトプットの「関数」でした。渋谷のスクランブル交差点を歩きながら、人々の歩行速度の変化と混雑率を考えて4次関数の図を思い浮かべたり(笑)。
それが、就職してはじめて関数以外の図があると知って、驚いたんです。社内でそれまで考えられてきた枠組みやパターンがあって、「田の字」や「矢バネ」だけでなく、ヨコ軸もタテ軸もインプットで、真ん中にアウトプットがあるというような図もありました。感動しましたよ。