西岡:僕自身、最初はそれに気が付かなかったんです。覚えなければならない法則や方程式がこんなにあるのかと。でも、実は1つ覚えればすべてに応用が効きますし、そもそも1つのことしか言っていないというようなことばかりですよね。法則や方程式という枝葉に気を取られて、本質を見ていなかったわけです。
平井:受験になると、たいてい山のように参考書を買ったりしますが、僕は、そんなものはいらないと思っています。これはなかなか理解されませんが、参考書は1冊か2冊、それさえ読まなくてもいいほどで、教科書だけで十分だというのが僕の実感なんですよ。
西岡:まったく同じことを、東大卒の方からよく聞きます。参考書はいらない、教科書に全部書いてあるでしょうと。でも、受験生にそう言っても信じません。東大の試験会場に行けば、世界史や日本史は、みんな山川出版社の教科書を読んでいるんだぞと言いたいんですが(笑)。
年号なんかも、暗記する必要はないんです。時代の流れとして、17世紀はこんな時代だとわかっていれば、この出来事はその中盤で起きたということは覚えなくてもわかります。そこから派生したものの1つとして、年号が登場するだけです。それなのに、何年に何の事件が起きたとか、最初から必死で暗記しようとしてしまうんですね。
思考の最初のカット(切り口)が大切
平井:思考の最初のカット(切り口)が年号になっているわけですね。CTスキャンのようにすべて切り刻んで頭に入れるという。
受験の土俵というのは、ルールも求められていることもシンプルで、リアルの社会に比べるとすごく簡単な世界です。ですから、思考の土台をしっかりさせれば、もっとレベルを底上げできると思うのですが。
西岡:しかし、今は、わかりやすいものや格好のいいものに飛びついてしまう時代だとも思います。最近の参考書はすごいですよ。カラフルで、美少女のイラストが描いてあったりして、「この参考書で勉強できたら嬉しい」という世界です。もちろんレイアウトの妙や見せ方を良くすることは大事ですが、なにか本質がともなっていないように感じますね。
平井:暗記するということ自体は否定はしませんが、バランスの問題がありますね。いまは知識詰め込み型に偏重しているんでしょう。ミクロの論理構造と全体のつながりを、行ったり来たりしながら自分の頭のなかで組み立てていくような姿勢がないと、流されてしまいます。
西岡:そうですね。本質を見極めるという思考は、絶対に社会に出てからプラスになるものですし、受験やビジネスにかかわらず、日常生活から役立ちます。でも、なかなかそうできないという方は多いです。
その点、図で考えるという方法は、インストールして、真似をしてやっていくうちに、誰にでも活用できるようになるところがあると僕は思っています。
平井:そうですね。意識して使おうとすると、手段の1つになりうるでしょう。
(構成:泉美木蘭、後編につづく)
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