金持ちにはわからない「親ガチャ」の悲しさ残酷さ 「日本の未来」を暗示する格差大国アメリカの姿
金持ちにはわからない「経済不安」の現実
自由奔放な資本主義を支持する人々は、増え続ける富裕層の特権のことなど気にせず、満ち潮はすべての船を持ち上げると言う。
彼らはこう信じている。たしかに労働者階級のアメリカ人は、近年の好景気の恩恵を自分たちと同じようには享受していないかもしれない。しかしそれでも、彼らの生活は10年前、1世代前、なんなら100年前よりはよくなっている、と。そして彼らは安心する。
彼らは経済不安ということについて、根本的な誤解をしている。
私が子どもだったころ、経済不安は「サウンドトラック」だった─―つまり背後でつねにそのノイズが聞こえていた。
わが家が裕福であったことはなく、両親の離婚後は、経済的なストレスが経済不安へと変わった。おまえたちは価値がない、落伍者だ、というささやきが母と私を苦しめた。
9歳の冬、私は適当な上着を持っていなかったので、母と一緒にシアーズに出かけた。上着は33ドル、母の1日分の給料に近いことはわかっていた。
私たちは大きすぎるサイズのものを買った。それで2年、あるいは3年はもつと、母は考えたのだろう。息子がとにかくモノをなくす人間であることまでは、思い及ばなかった。
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