豚汁だけで50種類!大人気「スープ作家」の凄み 有賀薫氏が切り開くスープという無限の可能性
スープ作家、有賀薫氏の活躍が止まらない。2016年に初めての本、『365日のめざましスープ』を刊行後、コンスタントに出し続けたスープレシピ本9冊分の発行部数は累計25万~26万部に及ぶ。その少し前からスープレシピが流行し始めていたこともあり、有賀氏のデビュー後、書店のレシピ本コーナーにはスープレシピコーナーができた。
2019年に『朝10分でできるスープ弁当』を出すと、12万部超えのベストセラーになったうえ、スープ弁当そのものも流行。次々とテレビ・ラジオ出演をこなすほか、雑誌の特集記事でも取り上げられた。有賀氏の仕事の、いったい何が人をひきつけるのだろうか。人気レシピを次々と出せる要因を探りたい。
独自の理論に裏付けられたレシピ
まず有賀氏のレシピ本から、魅力を読み解いてみよう。世に送り出すレシピの基本は、時短で簡単。単に手順を省くだけではなく、独自の理論に裏付けられている。レシピから読み取れるのは、タンパク源と野菜を組み合わせ、スープ1つで主菜を兼ねられること。また、肉などうま味の多い食材を使うことで、出汁を引く工程を省いたものも多い。
基本的に3ステップで、読みやすいデザインだ。大事なポイントは一口メモとして書かれ、料理名の前につけられたキャッチフレーズで、レシピの特徴がわかるようになっている。挿入されるエッセイからは、読者を思いやる気持ちが伝わってくる。有賀氏は元フリーライターである。
肉と野菜1~2種類のミニマムなレシピになっているせいか、キノコを加えるなど独自にアレンジして発展させる人も多いのだという。そうした読者の行動を有賀氏が知っているのは、SNSを積極的に活用しているからだ。
有賀氏はこの10年、毎朝違うスープを朝食に作る日課を続け、そのレシピをツイッターに投稿している。時にはフォロワーに呼びかけて声を集める。だから、読者が何を求め、何を負担に感じているのかよく知っているのだ。
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