豚汁だけで50種類!大人気「スープ作家」の凄み 有賀薫氏が切り開くスープという無限の可能性

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「バズレシピ」で人気のリュウジ氏、ユーチューブで大人気の大西哲也氏、夫婦ユニットで注目されるぐっち夫婦、クックパッド執行役員でもあり最近男性向けの『図解レシピ』を刊行した小竹貴子氏、スパイスカレーで人気の印度カリー子氏などのレシピも気になっている。

料理の世界で新しい取り組みをしている人が気になるのは、自身が常に新しい何かを生み出そうとしているからでもある。自身の人気の理由を、「家庭料理の中で、スープという新しいジャンルを作ったこと。レシピにとどまらず、キッチンや食事の慣習の新しいやり方を提案し、生活の場から挑戦しているところではないでしょうか」と自己分析する。

作り方だけでなく、「食事シーン」まで想像

スープレシピ本はこれまでもあったが、数あるレシピ本の中でその存在は目立たなかった。時短レシピの研究者もたくさんいるが、出汁を使わないスープ、簡単だけど応用しやすいレシピに徹する提案は目新しい。

そしてSNSでの発信力。いつそんな時間を作っているのか驚くほど、周囲の人たちの投稿をよく読み、返信もマメにする。SNS全盛時代の今、コミュニケーション力の高さは人気の料理家になるうえで不可欠な条件となっている。

(撮影:今井 康一)

有賀氏はレシピを考案するとき、単に作り方を工夫するのではなく、食事のシーンまで想像している。豚汁であれば、「1人暮らしの男性でも、ボリュームのある豚汁とご飯があれば、あとは買ってきたから揚げでもあればほぼ食事として成立する。野菜も摂れる。仕事から疲れて帰り、手軽に作りたい人も平日豚汁にできる」と有賀氏はイメージしている。人気になるのは、そうしたビジョンがあるからだ。

政治のビジョンが見えない、経済の先行きが見えない、といったことで不安を抱く人が多い時代。どんなジャンルであれ、これからの可能性についてビジョンを持って語れる人は注目される。有賀氏のファンたちは彼女に、スープにとどまらない未来の暮らしを見ているのではないだろうか。

阿古 真理 作家・生活史研究家

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あこ まり / Mari Aco

1968年兵庫県生まれ。神戸女学院大学文学部卒業。女性の生き方や家族、食、暮らしをテーマに、ルポを執筆。著書に『『平成・令和 食ブーム総ざらい』(集英社インターナショナル)』『日本外食全史』(亜紀書房)『料理に対する「ねばならない」を捨てたら、うつの自分を受け入れられた』(幻冬舎)など。

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