賛否うずまく中、東京五輪が開幕しました。
その開幕の場となったオープニングセレモニー。いつもの派手さはない、極めて異例の式典となりました。
まずは、綱渡りの厳しい状況下で、何とか開催にこぎつけたこと自体、評価されるべきであり、現場のスタッフの皆さんのご尽力には深く敬意を表したいと思います。
一方で、正直、残念さ、物足りなさ、もやもや感を覚えた人も少なくはなかったようにも感じます。
とくに、その祝祭ムードに水を差したのが、ほかでもない国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長の挨拶でした。なぜ、彼の言葉は私たちの心を1ミリも動かさなかったのでしょうか?
バッハ会長のスピーチ、問題点は?
東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の橋本聖子会長とバッハ会長、合わせて9分の予定だったものが、結局、2人で20分となりました。うち、バッハ会長が13分。
3時間以上の長丁場の最終ステージで、参加している選手も、テレビを見ている視聴者の集中力も途切れるあのタイミングとあって、ネット上でも「長すぎる」「校長先生の話なら、生徒の誰かがぶっ倒れているレベル」と悪評ふんぷんでした。
ロイター通信も、「バッハ氏の長いスピーチが、憤りを買う」と言う記事を掲載。ちょうど橋本氏の2倍の長さのスピーチだったことに言及していました。
スクリプトを一字一句読み上げるスタイルで、日本の政治家のように、堅苦しく、四角四面で、少なくとも私の周囲の人間にはその魅力がまったく伝わりませんでした。
一流のスピーチは、たとえ原稿があったとしても、それを読んでいるように感じさせないか、ほんの一部でも、書かれていない「自分の言葉」を交えることで、言葉に命が宿ります。そうした工夫も、まるで見られませんでした。
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