インド医療事情と病院選び--公立病院は避けて「高級病院チェーン」へ行くのが無難
ギリシャ問題から始まった欧州経済の混乱はなかなか収まりそうにない。欧州経済の低迷は世界経済にも深刻な影響を与える。世界経済の牽引役を果たすことができるのは、やはりBRICsなど新興国ということになるのだろうか。
インド進出の日本企業は年々増加しており、今では1000社を超えている。先進国の景気回復が遅れていることから、日本企業は今後ますますインドを重視せざるをえない。
しかし、インドは欧米とも東南アジアとも異なり、日本人にとっては過酷とも言える環境だ。インド国内で働く日本人社員の心身のケアを忘れてはならない。日本人社員の心身の健康を守れなければ、業績を伸ばすことなど不可能だ。
そこで、インドビジネスに詳しい株式会社ネクストマーケット・リサーチの須貝信一代表取締役に、日系企業インド駐在員の病気と医療について聞いた。同社はインド、南アジアの企業・金融・経済情報の提供のほか、インド進出支援コンサルティングなどを行っている。
--インド進出日系企業の駐在員が赴任するうえで本社側人事部が気にすべきこととして、医療についてお聞きします。インドの医療といえばジェネリック医薬品を多く輸出して、近年注目されています。こういった先進的なイメージもありますが、あまり衛生的でない従来のイメージと両方あります。実際のところはどうなのでしょうか。
現地の医療事情はインド駐在員、また本社の方にとってはいちばん気になるところかと思います。
病院は大きく分けて公立病院と私立病院の2種類がありますが、公立病院は医療体制が整備されておらず、ほとんどの邦人は大型の私立病院を利用しています。赴任地域によって医療環境は変わってきます。
デリーなどの都市部では最先端の医療を受けられる「高級病院チェーン」が拡大しており、一般の日本人が想像するほど先端医療の環境は悪くはないと思います。この「高級病院チェーン」というビジネスは日本では考えられませんが、アポロ病院、フォルティス病院、マックス病院、ウォックハルト病院などが有名で、なかには上場会社もあります。