実は抜け穴だらけ?「監視社会」中国の実態 ITを駆使して個人情報を収集しても管理は適当?

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ITを利用した個人情報管理が進む中国。「監視社会」とよく言われるが政府当局ではそれほどきちんと管理されていないようで…(写真・ moovstock / PIXTA)
新型コロナウイルス感染症が最初に発生したものの、政府による強力な防疫体制でほぼ封じ込めている。それには強力な「監視社会」が奏功したと言われるが、どれほど強力なものなのか。携帯電話のアプリで登録された個人情報はすべて筒抜け、と言われるがそれはどこまで本当か。一世を風靡したバンド「爆風スランプ」のドラマーで、現在は中国を中心に活動しているミュージシャンのファンキー末吉氏が、コロナ禍の中国での「監視社会」の実体験を語る。


 かつて私は、「倭僑のススメ」と題して講演会まわりをしていたことがある。中国生活がやや長くなってきたころからだ。話す内容は、おおよそこんなものだった。

<中国人は長い戦乱が続いた歴史の中で、「地縁・血縁・金」しか信じなくなった。だから、自分の国が住みにくいと思ったら、国境を越えて新天地を目指す。その新天地で、その国の言葉や文化を学び、「華僑」となる。陸路で国境を越えられる中国と違って、四方を海で囲まれた日本ではなかなかそれをしない。「この国は自分にとって住みにくいのかも……」と思っても、我慢して「合わせる」しかないと思っているのではないか。>

実際に私は日本の芸能界、例えば大手プロダクションが幅をきかせるシステムの中で、いつも「住みにくい」と強く感じていた。日本では「変わり者」といわれ、いつも輪の中からはじき出されたような疎外感を感じていた。だからといって、そんな世界に合わせることは苦手だ。

中国人が規則を守るようになった!

そのような中、中国のロック界へと飛び出してみたら、中国というところはこんな自分をそのまま受け入れてくれた。私にはとっても素晴らしところだった。そんな経験から、

<世界は広い! 今の自分のままで生きていける世界がどこかにきっとある! 日本の若者よ、どんどん外に出ていって倭僑となろう!>

といった話をしていたのだが、当時と比べて世の中はさらに大きく変わっている。

日本人は「法律とは、お上が自分を守ってくれるもの」という感覚があると思う。ところが中国人は、逆に「法律なんか上が下を搾取するためのものだ」と思っているようなところがある。だから、「見つからなければ法律など破ってもかまわない」。これは日本人に知られた中国人観ではないだろうか。

例えば、中国人が日本に来て夜中に横断歩道を渡ろうとする。赤信号であれば車が来てなくても渡らずにずっと待っている日本人を見ていると、「意味ないでしょ?」と笑ってしまう。私もついついそうしてしまうのだが、日本人はなぜだか赤信号では止まってしまう。

ところが、中国人がそんな日本人を見て笑っていたのも今は昔……。今では、車を運転しているすべての中国人は、真夜中の赤信号でも必ず止まる。誰が見ていなくても、他に車が来ていなくても、赤信号であれば必ず止まる。なぜか。それは、国中至る所に設置されている監視カメラのせいだ。日本では監視カメラの映像を証拠に罰金を請求されても、不服なら裁判で争うことができる。ところが中国は、いやおうなしに罰金を支払うことになる。

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