コロナ禍での中国入国はこんなに大変だった! 音楽家ファンキー末吉が七転八倒した検査

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カンボジアの首都プノンペンにあるPCR検査場。検査を希望する人の大部分が中国人だった!(写真・筆者撮影)
コロナ禍により国家間の移動が著しく制限されているが、それでも渡航しなければならない人もいる。とはいえ、それには「空港到着後に一定期間隔離される」といったイメージが湧く程度ではないだろうか。
人気バンドとして一世を風靡した「爆風スランプ」のドラマーとして有名で、この30年ほど中国を拠点にして音楽活動を行っているミュージシャン・ファンキー末吉氏は、たまたまカンボジアに入国した直後にコロナ禍に遭った。出国できないまま1年が過ぎた2021年2月末、ビザの関係でどうしても中国へ戻らなければならなくなった末吉氏は、出国時でも入国時でも、コロナ禍による規制や制度のために、想像以上の苦労をすることになる。末吉氏が体験した、カンボジア出国から中国入国までの全過程を紹介する。

 

私、ファンキー末吉は爆風スランプのドラマーであることは知られているが、30年にわたり中国を拠点にミュージシャンとして暮らしていることは、日本人にはあまり知られていない。今では、年間100本に及ぶライブを行うバンドのドラマー兼プロデューサーとして、全中国をツアーで回っている。

2020年2月、そんなツアーを終えて骨休めでカンボジアにやって来たらコロナ禍で中国に帰れなくなってしまい、それから1年間カンボジアで暮らしていた。

そこで大問題が目前に迫っていた。私の中国での労働ビザが、2021年4月8日に有効期限を迎えるのだ。ちなみに、中国では「還暦になってもまだ働くの?」という感覚が一般的で、実際に60歳以上の外国人が中国の労働ビザを取得するのは非常に難しい。

中国到着日から4週間の隔離義務

というわけで、59歳の時に取ったビザが切れるということは、ただでさえコロナで新規ビザの発給を停止している現状を考えると、私はビザが切れるまでにどうしても中国に入国しておかねばならないということである。

カンボジアでもそうだったが、1回出国してまた入り直して入国条件を満たす、いわゆる「ビザラン」ができる状況ではない。中国では、すでに入国している外国人のビザは自動更新しているようなので、今ここで入国しておかないと中国のビザが取れないという事態にもなりかねない。そこで、大慌てで中国への渡航を決めたのだ。

中国では現在、到着後4週間・28日間の隔離が義務付けられている。隔離が明けて、ビザを申請すれば……と時間を計算すると「3月上旬に出国すればいいか」と考えつく。しかし、コロナの状況もよくなるかもしれないから、飛行機のチケットは近づいてから取ればいいか、と思っていた矢先、冒頭で紹介した中国のバンドのマネジャーから泣きが入った。私の帰国日が決まらないと、その後の全中国ツアーのブッキングができないと言うのだ。

というわけで、急いで3月4日のチケットを押さえた。ところが2月21日になって、カンボジアに住む中国人の友人からこんなメッセージが送られて来た。中国へ入国するには、カンボジアでの搭乗前に14日間の隔離を経て「隔離証明」を持って搭乗しなければならないということだった。だが、私が予約したフライトまですでに14日を切っている。

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