アメリカで苛烈化する「アジア人ヘイト」の実態

東本願寺別院の放火で見えたロサンゼルスの今

2月下旬、放火と破壊の被害を受けたロサンゼルスの東本願寺ロサンゼルス別院。犯人はこの鉄柵を乗り越えて犯行に及んだようだ(写真:筆者撮影)

またしてもアジア人に対する「ヘイト」なのかーー。2月25日、ロサンゼルスにある東本願寺ロサンゼルス別院が放火と破壊被害にあった。目下、ロサンゼルス市警が捜査中でヘイトクライム(憎悪犯罪)とは断定されていないが、日本人にもなじみ深い「リトル東京」での犯罪にアジア系住民からはヘイトを懸念する声も上がっている。

東本願寺に侵入した男

「犯人は身体が大きく、肉体的に引き締まっていて、動きがすごく機敏でした。中年ではなく、30代ぐらいの若い男性に見えました」。監視カメラに映った映像について英語でそう語るのは、カリフォルニア州リトル東京にある東本願寺ロサンゼルス別院の輪番で僧侶の伊東憲昭さん、72歳だ。

2月25日の夜7時頃、東本願寺の敷地内に男が侵入した様子を敷地内に設置された防犯カメラがとらえていた。

「男性は、最初に玄関の両脇の2つの木製の提灯台に火をつけ、それがよく燃えているかを確かめていました。次に、金属製の灯籠ふたつをなぎ倒し、柵を軽々と乗り越えて、道路側に出て行ったんです」

犯人はこの金属製の灯籠をなぎ倒した(写真:筆者撮影)

東本願寺の玄関前にある鉄製の柵は、高さ3メートルはある。これを乗り越えるには相当の力と身軽さが必要だ。さらに男は道路側から、レモン大の大きさの石を投げて、玄関のガラス戸に命中させ破壊したという。

男はホームレス居住区の「スキッド・ロウ」の方角ではなく、繁華街の方に歩いて行き、服装も普通の様子だったという。「道を歩いて去る様子を見て、彼はホームレスではないなと思いました」と伊東さん。 

犯行当時、伊東さんは自宅におり、寺院内のオフィスで仕事をしていたアシスタント僧侶とZoomを使ってオンライン会議をしていた。ガラス戸が割れる音を聞いたアシスタント僧侶が玄関に駆けつけると、提灯台2つが燃えていた。僧侶がすぐに消火器で消火をし、建物に火が燃え移ることはなかった。本堂も無事だった。

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