この国の未来は「川崎市」に凝縮されている

「リバーズエッジ」から見る日本の未来

川崎からみえるこの国の未来とは何か(撮影:梅谷秀司)

もしこの国の未来を知りたければ、とっておきの方法がある。川崎を訪れてみればいい。それだけ? そう、それだけ。ただしちょっとした条件付きだ。

いちどだけでなく、なんども通ってみること。そこで暮らす人々と言葉を交わし、できたら友だちになること。

そうすればこの街はかならずあなたに未来の姿を見せてくれるはずだ。

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川崎市は人口約150万。東京都と横浜市に挟まれた位置にあり、北西から南東へと細長く連なる7つの区(麻生区/多摩区/宮前区/高津区/中原区/幸区/川崎区)からなる。川崎は北と南に分けて語られることが多い。北部と南部とではカラーがまったく異なるからだ。

ノンフィクションの文脈でいえば、かつて川崎の北部が日本中の注目を集めたことがあった。1980年11月29日、高津区の新興住宅地で、当時20歳だった浪人生が、両親を金属バットで撲殺したのだ。

写真家の藤原新也は、『東京漂流』(朝日文芸文庫)の中で、もし「80年代の日本を一発ワンショットで撮れ」と言われたら迷わずこの時の犯行に使われた金属バットを撮ると述べている。藤原が撮影した事件現場の家屋は、まるで不動産の広告写真のような明るさを帯びている。藤原はニュータウン特有の明るさの向こうに、虚ろな家族の姿を見て取ったのだ。

「川崎国」などと再び注目を浴びることに

2015年、ふたたび川崎が注目を浴びた。ただしこんどは川崎の南部である。2月20日の早朝、川崎市川崎区の多摩川の河川敷で、無数の痣や切り傷がある少年の全裸遺体が発見されたのだ。

メディアは沸騰した。被害者が中学1年生であったことや困窮した家庭環境であったこと、主犯格の少年の人物像などが、連日凄まじいボリュームで報道された。

中には、少年たちが利用していたLINEがあたかも犯罪の温床であるかのように報じるものや、殺害方法から少年グループを「イスラム国」になぞらえ「川崎国」と称するものなどいささかピント外れな報道も目についた。メディアは好き勝手に事件を弄んだあげく、あっという間に飽きて立ち去っていった。

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