「嫌われる街」川崎のイメージを変えた消防士 風俗とギャンブルが同居する街の魅力とは

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横須賀から川崎に移り住んだ、田村氏の本業は米軍勤務の消防士。24時間勤務で翌日が1日休みというスケジュールを利用し、川崎のために飛び回っている(撮影場所/オン・ザ・マークス)

2040年に神奈川県下で唯一、人口が増加していると予測されている市がどこだかご存知だろうか。多くの人は横浜市と思うもしれないが、実は川崎市である。

隣接する神奈川県の2大都市、横浜、川崎。川崎市民には申し訳ないが、2つの都市のイメージは大きく異なる。港、歴史ある建物、中華街、多くのファンを持つ商店街にブランド力のある住宅街――。横浜には魅力的なコンテンツが多数ある。比して川崎はどうだ。ギャンブル、風俗、工場と女性が嫌う街の三大要素が見事にそろっている。

にわかに動き始めた川崎

だが、三大要素自体は大きく変わってはいないものの、川崎はこのところ動き始めている。溝の口では人間関係が希薄と言われがちなタワーマンションも含めた複数のマンションが合同でイベントを開き、武蔵小杉では新旧住民や商店街などあまり交わって来なかった人たちの交流が生まれている。

お隣新丸子でも地元の産物を扱う、小さなマルシェが定期的に開かれるようになった。タバコのポイ捨てや若い人たちの選挙への参加など、地元の課題を語り合うイベントが開かれ、市内各地から人が集まるようになってきている。30~40代の子育て世代を中心に地域に関わり、地元を良くしようという動きが市内あちこちで見られるようになっているのだ。

それが何を意味するか。

街の魅力にはさまざまな要素がある。交通を始めとする利便性、自然、歴史、充実した公共施設、独自の公共サービス――。だが、自然、歴史は今から作れるものではなく、新線、新駅計画なども一段落している今、利便性が飛躍的に変化することもないだろう。まして少子化、高齢化で税収が減る時代においては今以上に充実した公共サービス、公共施設が提供されることは期待薄だ。

とすると、今後、減っていく人口をある意味奪いあう将来において、新たな街の魅力として考えうるものはそこに住んで楽しいという気持ちだ。人によって表現は異なるかもしれないが、「楽しさ」を生み出すためには、地域に知った顔や友人を多く作ることが必要となる。

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