アメリカで苛烈化する「アジア人ヘイト」の実態 東本願寺別院の放火で見えたロサンゼルスの今

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風月堂の鬼頭氏も「犯人は警察に捕まえてもらうしかないが、同じような犯罪が再び起きないよう、地域にある寺院やキリスト教会に呼びかけて24時間体制で防犯を強化していく」と語る。鬼頭氏は、リトル東京を犯罪から守るべく、商店街の有志メンバーらで結成した「Public Safety Association」、通称「交番(KOBAN)」の運営代表でもある。

東本願寺の斜め向かいには、一見、寺とはわからないぐらいモダンな建築の浄土宗北米開教本院の建物がある。今回の事件を受け、伊東さんがこの寺院に連絡したところ、実は数カ月前にこの寺にも投石があり、窓ガラスが壊されていたことがわかったという。

全米日系アメリカ人博物館も被害に

「お寺だけではなく、コロナ禍のリトル東京では、あちこち投石されて壊されている」と語るのは、全米日系アメリカ人博物館でボランティアを務める日系4世のマイケル・オカムラ氏だ。 

同館は、東本願寺から徒歩で数分の場所にある。実際に行ってみると、入り口付近の窓ガラスに野球ボール大ぐらいの穴が丸く空いていたほか、入り口のガラス戸にも蜘蛛の巣状に亀裂が入っていた。

全米日系アメリカ人博物館の窓ガラスも何者かによって破壊されていた(写真:筆者撮影)

地元の報道によれば、博物館のガラスは昨年夏ごろに破壊されたようだが、サイズが大きい特殊なガラスゆえ修繕費用が高額で、修理に手が回らない状態のようだ。さらに向かい側にある別館は、かつて「西本願寺」だった建物だが、その日本風のデザインの入り口に吊されている和風の電灯が、筆者が撮影をしていた2月27日と28日の間に何者かによって破壊された。

前日に撮影していた電灯の白い曇りガラス部分が、翌日はもう壊されてなくなっているのを見て、さすがに寒気が走った。コロナ禍で単に治安が悪化しているのか、それともアジア系の施設をピンポイントで狙う憎悪犯罪なのかはわからない。

2月27日に東本願寺の柵の外から、今回の犯行で破壊された灯籠や提灯台を筆者が撮影していると、AP通信のロサンゼルス支局のカメラマンも望遠レンズで撮影をしていた。ふたりでシャッターを切っていると、周囲を複数のホームレスの人々がひっきりなしに行き交う。

東本願寺の向かいの道路脇にはホームレスの人たちが設置したテントがいくつか並んでおり、周囲をほうきで掃いているホームレスの人もいた。どうやらここに定住している数人がいるようだ。

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