コロナ禍での中国入国はこんなに大変だった! 音楽家ファンキー末吉が七転八倒した検査

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ビザの取得についてもいろんな情報が飛び交っていた。「すべてのビザが無効になっているので、取り直した人だけが入国できる」「2020年3月27日以前に発行されたビザでは入国不可。3月28日以降発行のビザのみ有効」などなど。「労働ビザなら入国できる」という話も聞いたが、状況や制度は刻一刻変わりうる。「あの人はこうだったので、私もこうなる」ということは必ずしも言えないのが、私の経験則なのだ。

この時点で私は、最も安全な対策として、出発日を2月25日しよう、と決断した。搭乗前の14日間隔離は「3月1日から施行」ということなので、その施行前の2月25日のほうが入国がより確実になるだろうと考えたのだ。幸いにも、2月25日以降にカンボジアでのライブや音楽イベントの予定はなかった。チケットも変更できた。

ここまでやると、問題は「今からPCR検査などをやって2月25日のフライトに間に合うのか」ということだ。問い合わせると「2月23日に検査に来い」となった。このPCR検査で陰性の証明書をもらい大使館で申請し、「入国OK」を意味するスマホアプリ「健康QRコード」を緑色に光らせることができれば、ようやく私は中国に入国できる。

デジタル化が進んだ検査手続きに驚く

検査の有効期間や申請時間を考え、23日にPCR検査、24日に結果受け取り、25日午前に中国大使館で申請という流れで進めることにした。そして23日にプノンペンの検査場に行くなり、びっくりさせられた。100人を優に超える人間が並んでいて、「ここは中国か!」と思うほど全員中国人なのだ。案内のアナウンスや現地スタッフまで全員、中国語を話している。中国語がわかる私には楽だ。

PCR検査陰性の証明書をゲット! ところが後々これが出国手続きで障害に……(写真・筆者撮影)

ところが、整理番号をもらうのに数時間、それを持って実際に検査に並ぶのに数時間……。気がつけばもう半日仕事になっていた。ただ、待たされたものの、検査自体はあっという間に終わった。途中で「日本人だよね? 行き先は中国でいいの?」と何度か確認された。このご時世、有効な労働ビザを持っている日本人がカンボジアから中国に飛ぶということはとても珍しく、またこの検査場で中国人以外の外国人がいることがすでに珍しかったのだろう。

というわけで翌日。夕方5時に同じ会場に行って無事に陰性証明をゲット! しかし、この証明書が後に大きな問題を引き起こすことになるとは、この時点ではわかっていなかったのである。

証明書を受け取って帰ろうと思ったら、中国人が何やらこの写真を撮って携帯で色々やっているので質問してみた。「明日これ持って大使館行って緑色健康QRコードもらうんだよね?」「え?大使館なんか行かないよ」。

IT先進国の中国、これをネットで申請するということは十分考えられる。ネットでの申請をどうやるのか聞いたら、中国のSNSメッセンジャー「WeChat」にあるアプリで登録しているようだ。WeChatは中国で生きていくためには必需アプリなので、私も持っている。その中国人がすいすいとミニアプリを使えるようにしてくれたのだが、やってみるとこれはどうやら中国人だけしか使えない。

次ページ検査したのに書類不備ではねられる…
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