中国の「信用社会」はどこまで信用できるか

アリババ、テンセントも関連ビジネスに参入

防犯カメラの設置が急速に進む中国。「信用」関連ビジネスも活発だ(写真:ロイター/アフロ)

全国人民代表大会(全人代、日本の国会に相当)が終わった。年前半の最も重要な行事の1つであり、それに関するさまざまな話題が毎年メディアをにぎわせる。

しかし、今年は別の出来事に対して多くの国民の関心が寄せられた。全人代の閉会直前、内陸の四川省成都市にある小中高一貫校の食堂でカビの生えている食材の使用が発覚し、在校生の親たちが猛抗議。警察が出動する非常事態にまで発展した。

のちに地元政府はカビのある春雨の存在を認めながら、ほかの食材は問題がないとの調査結果を発表し、速やかに学校や教育局の責任者を処分した。真相の判明は難しいと思われるが、事態の収拾を急ぐ当局の思惑が一目瞭然だ。

食品、医薬品の問題頻発で高まる不信感

中国国民の最大の関心事は政府幹部の腐敗問題だが、その次は環境と食品安全の問題である。経済規模が世界2位の大国となった中国は、幸福度や質の高い生活といった、いわゆる「質の成長」にシフトしようとしており、多くの中国人、とりわけ経済発展が進んでいる都市部の住民は安心・安全で信用のある社会の実現を求めている。

だが、残念なことに中国では近年、食品や医薬品の安全問題が枚挙にいとまがないほど頻発し、不信感が強まっている。

一方、何か不祥事が発生するたびに、テクノロジーによる解決への期待が高まっているように見える。今回の事件では、食堂事業を請け負う会社の体質を変えても、問題を根本的には解決できないと考える人々から、「すべての学校の食堂に監視カメラを設置し、食材管理には情報管理システムを導入するべき」との意見が上がった。

昨年の夏に摘発されたある製薬会社の不正ワクチン事件では、「ブロックチェーンを用いてワクチンの生産過程を記録すべき」との議論もあった。いずれも人間の変化よりも、カメラやシステムなどといったテクノロジーによる安全や信用の形成を追求しようとする動きである。

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